045 キース・ジャレット/ケルンコンサート

08:自分音楽レコード史 ピックアップ

ジャズ・ピアニストの最高峰であるキース・ジャレット、ライブアルバム「ケルンコンサート」はもはやクラシックに通じる高尚なジャズと言ってよいだろう。

キース・ジャレット/ケルンコンサート
キース・ジャレット/ケルンコンサート 1975

恐らくキース・ジャレットはクラシックファンからも非常に高い支持を受けているはずだ。たった一人でピアノの前に座り奏でる即興のメロディは、クラシック愛好家を驚嘆させる。昨今のクラシックピアニストは即興が出来ない人が多いからだ。このアルバムはキースが30歳になるかならないかの頃の作品だ。

かってのクラシック音楽は即興音楽が普通だったらしいが、いつからか譜面を忠実に演奏するようになった。
恐らく、モーツアルトもこんな感じで宮殿で王様や貴族の前で弾いていたんじゃないのかな。
モーツアルトのような天才であれば、録音技術が発達していれば、もっと沢山の曲が残っていたはずだ。溢れる才能の天才であれば、譜面に書くのが面倒になったことは十分考えられる。

問題はキースの即興がどこまで即興なのかだ。

ジャズの場合、テーマがあってそのコード進行にあわせてアドリブを行うのが普通。
キースの場合、そのテーマすら即興なのだ。最初に何かしらの動機(きっかけ)を探して、テーマを見つけ出す。テーマを見つけたら、その場でテーマを完成させそれを展開する。

ケルンコンサートの途中から延々と続く真珠のような美しい右手の旋律は、AmG の繰り返しでしかない。単純すぎるコード AmG を延々と繰り返しているだけだ。

キース・ジャレット/ケルンコンサート
キース・ジャレット/ケルンコンサートより 1975

もし、凡人が奏でたとしたら聴くに堪えないダサいフレーズになること間違いない。
しかし、キースが弾くと宝石の粒となってしまう。

インプロビゼーションを続けながら新しいテーマを探し出し、それを展開していく。
キースはピアノの前に座るまでどう演奏するか決めていないと言う。感性のおもむくまま演奏する…と当時の音楽雑誌に書いてあった記憶がある。

しかし、全く何もない状態からこれだけの演奏が出来るとはとても思えない。
特に PartⅡc のアンコール曲。いきなりシャワーのように美しい旋律が降り注ぐ。
これが完全即興だと言うのであれば、モーツアルトのように神によってメロディーが指先から自然に湧きだしているとしか考えられない。

キースのソロコンサートは武道館で聴いている。
ソロコンサートは神聖で神がかっていた。まるで神様がキースを通じて音を奏でているようだった。

01. KOLN, January 24, 1975 PartⅠ
02. KOLN, January 24, 1975 PartⅡa
03. KOLN, January 24, 1975 PartⅡb
04. KOLN, January 24, 1975 PartⅡc


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