今現在、最も注目しているジャズピアニスト二人のうちの一人、上原ひろみ。
上原ひろみ/MOVE 2012
アルバムCDの表(右)と裏(左)
アルバム最初の曲 MOVE を聴けばその凄さが分かる。テクニックは勿論ながら新しいジャズの境地を切り開いている。通常見られるジャズピアニストのスタイルと領域が異なる。
どの曲もテクニックに圧倒される。テンポの速い曲は超絶テクニックで実に攻撃的だ。主旋律は Rock であり Fusion Jazz だ。そしてアドリブは超一級の Jazz だ。
スローな曲も攻撃的だ。これは、彼女がとことん新しい音楽を追及している故に感じる迫力だろう。
このアルバムでもっともメロディラインがあるとしたら Margarita! になるだろうか? だが旋律を感じられるのは最初だけ。途中から彼女はアドリブを完全に楽しんでいる。
チックコリアやハービーハンコックがアコースティックピアノだけでなくエレクトリックサウンドを取り入れ、ロックとジャズを融合させた頃の印象と重なる。
但し、完成された音楽は、チックやハービーと一味も二味も異なっている。発展途上の実験的なジャズ音楽のようにも感じる。
アルバムCDの中に入っている解説
音楽を分類するとジャズになるのだろうが、EL&Pのエマーソンのキーボードのように音楽そのものが攻撃的でロックアルバムに近い。テクニックに裏づけされた新しい音楽だ。
Suite Escapism “Reality” の出だしの緊張感は、まさにエマーソン・レイク&パーマーの 恐怖の頭脳改革 そのものだ。但し、アドリブはEL&Pのロック色と異なる高品質なジャズアドリブになっている。
Anthony Jackson(Bass) と TOTOに在籍していた Simon Phillips (Drums)だから、ロック色の強いフュージョンになっているのもうなずける。まさに EL&P と同じ構成ではあるが、全然異なる音楽に仕上がっている。
『 上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト feat. アンソニー・ジャクソン&サイモン・フィリップス 』のアルバム表題も自信がなければクレジット出来ない。超ベテランの胸を借りて演奏するのではなく完全に対等な立場であり、むしろ2人を従えて演奏している。もう脱帽だ。たいしたもんだ。
01. MOVE
02. Brand New Day
03. Endeavor
04. Rainmaker
05 Suite Escapism “Reality”
06. Suite Escapism “Fantasy”
07. Suite Escapism “In Between”
08. Margarita!
09. 11:49PM
