今年読んだ書籍で、ちょっと考えさせられた本を紹介します。
DIE WITH ZERO
ビル・パーキンス (著)/児島 修(翻訳)
出版社:ダイヤモンド社
1530円+TAX/2020年09月(電子書籍で購入)
人はいつか死ぬ。10年後かもしれないし、ひょっとしたら明日かもしれない・・・。
尚、挿絵写真は会社で使わなくなった素材集から持ってきています。
この本を読み出す前は、50代以上の人が読む本だと思っていた。しかし、読みだすと、むしろ20代や30代以上の世代が読むほうが良いと思った。
イソップ童話「アリとキリギリス」から話は始まる。
冬がきて、アリは暖かい暖炉のある部屋で過ごすが、キリギリスは悲惨な現実が待っていた。
このイソップ童話は、「良い人生をおくるためには、真面目に働かなければ駄目だ」と教えてくれる。
しかし、著者のビルは語る。「じゃあアリはいつ遊ぶの?」
ビルは「キリギリス型」の生き方を薦めている。
ただ、キリギリスはもう少し節約すべきであり、逆にアリはもう少し今を楽しんむべきだと。
喜びは先延ばしにせず、今しかできないことにお金をつぎ込み人生を豊かにすべきだ。お金は大切だが人生はそれよりももっと大切なことがある。
人は老化に逆らえない、いつかは誰もが死ぬ。人は死が近づいて初めて我に返る。先が長くないと知ったとき、ようやく自分を見つめ直す。自分はいったい何をしていたのだろう?と。
だからこそ限られた時間の中で最大限に命を燃やす生き方をすべきだと。
何に価値を見いだすかは人それぞれ。時間と金を最大限に活かすためのポイントは「タイミング」だ。
ビルはこんな感じで説く。
人の収入は、年齢によって変わる。支出をその変動に合わせる必要はない。
一生記憶に残るような旅、夢の追及、素晴らしい体験、起業への夢、経験にはお金がかかる。ときには莫大な場合もある。
若いときはお金がない。だが、それだけの理由で諦めてはいけない。借金をしてでも体験すべきだ。喜びを味わう機会を意味もなく延期すべきではない。
読み進めると、俗に世間で言われる「若い頃から老後のことを考えて貯蓄をしましょう」とは正反対の内容に思えなくもない。「これって随分、無責任な内容では?」と読んでいない人は思うかもしれない。
しかし、ビルは決して無責任な生き方を薦めている訳ではない。「お金をつかうタイミングが問題」と強調している。子供がいる場合、与えるべきお金を考えた後の「自分のためのお金」も触れている。
ビルは、人生で一番大切な仕事は「思い出づくり」だと説く。
経験への投資は早ければ早いほど記憶の配当はたくさん手に入る。
20歳のときに旅に出掛けた記憶の配当は沢山手に入る。人生を振り返ったとき、大きな満足や甘酸っぱい思い出に浸ることができる。
歳をとればとるほど、行動に移せる経験は大きく減っていく。
生きているうちにお金を使い切ること。つまり「ゼロで死ぬ」ことを目指せと。仕事が喜びの人でも仕事と無関係の経験にある程度の時間を費やすべきだと。
欧米人が考える感覚もあり、日本人に合わない箇所も若干ある。結論は世間で広く言う「後悔するような生き方をするな」だが、ビルの書き方が上手いため妙に感化される。プラス翻訳も上手いのだろうね。
考え方がちょっと変わるぞ。