2006年10月から12月まで3か月にかけて放送された のだめのタンタービレ のレンタルDVDを2日にかけて一気に見た。リアルで見た人には今更のドラマかもしれないけど…。
これほどクラシック音楽を全面に押し出すドラマも珍しい。もともと漫画のドラマ化のようだが、のだめ=野田 恵 の意味を今更ながら初めて知った。
楽曲や演奏シーンは真面目なのだが、殴られるシーンなどギャク漫画そのもの。そこが面白いと言うのかもしれないが、個人的に真面目な演出の方が良かった気がする。せっかくのオーケスラシーンの価値が下がってしまう…と思うのは自分だけか? これは、原作である漫画をそのまま実写化したためのようだ。
但し、クラシックの選曲は勿論、音楽的な内容は真面目で、しっかり最後まで見れた。途中のワイワイガヤガヤシーンは不要だったが、ドラマ主題曲はベートーベン交響曲第7番だ。
それより、ジョージ・ガーシュウィンのラプソディ・イン・ブルーがエンディングに流れるのは嬉しい。ガーシュウィンの曲はジャズ調なところが好きだ。パリのアメリカ人が有名で、同名映画のDVDを持っている。
映画スイングガールズみたいに、オーケストラが演奏時にアクションをするのは正しく評価されるのだろうか? 個人的には大いに結構だが。
のだめが着ぐるみをかぶって、ラプソディ・イン・ブルーを演奏するシーンは見ていて楽しい。やはりガーシュウィンは、クラシック音楽と言うよりジャズだ。例えば、ガーシュウィンの作品で 3つの前奏曲(3 Preludes) がある。曲名はクラシック的でも曲はジャズだ。
クラシック音楽は皆目分からないが、音楽の最高レベルであることは認める。しかし、個人的にはどうしても楽しめない。譜面を崩して演奏したら怒られるが、ジャズは譜面のまま演奏したら怒られる。
自分はジャズファンであり、特にジャズピアノを好む。
よって、ジャズピアニストなら沢山知っている。しかし、そんなジャズピアニストも幼少の頃は、殆ど例外なくクラシックピアノからスタートしていることも事実。やはり音楽の基礎はクラシックだ。
音楽大学に行ったことがないので分からないが、殆どの学生がクラシック音楽を学ばされることに自分は理解出来ない。ジャズ専攻とか民族音楽専攻とかあるのかな?
毎年、多くの人が音大を卒業している訳だが、そのまま実社会で音楽だけで収入を得られる人は少ない。
私が30歳になるかならないかの頃、両備システムズが東京支社を設立して千代田区三番町に1フロアがかなり広いオフィスを構えた。その東京支社立上げ時のスタッフだった。
お客様先常駐者もいたため、東京支社内は常時社員が10名もいなかった。しかし、そこに音大卒が3名もいた。女性2名、男性1名。
「何故、音大卒業者がコンピュータのソフトウェア会社に勤めるの?」
3人のうち、男性1人は制御システム技術者として開発を行っていたが、女性2人は経理事務だった。「何故、経理?」、素朴な疑問だったが、要は音大卒業しただけでは就職先はなかったようだ。
何故か音大卒の女性2人とは気が合った。ジャンルは異なっても音楽は一緒だからか?
否、そうじゃない。彼女らは単にクラシックを語れる場がなかっただけだ。当然、彼女らとクラシックの話なんかしたこともなかったし、彼女らもあえて話題にしなかった。仕事に必要ないからだ。
せっかくの専門知識を身に付けて、それを生かせないのは本当に気の毒だ。演奏すれば、間違いなく「おおっ、さすが!」と称賛されるだろう。
しかし、ピアノが上手いだけなら世の中、掃いて捨てるほどいる。
当時、まだ景気が良い頃、忘年会で会社近くのホテルの大広間を借りたことがある。どこの会社でもあるように若手はアトラクションを行った。
私もまだ30代そこそこ、ちょうどサックスをやっていた若手営業マンと、自分がドラムマシンとシーケンサーとエレピを持ってきて、2人でサックスとピアノによるジャズをやった。
まだ、音楽にはまっていた自分は、割と立派なドラムマシン(RX7)と名機と称されたシーケンサー(QX3)を持っていた。(今でもその機械は、数十年の時を超えて眠っている)
彼女らも演奏は出来たのに演奏をしなかった。クラシックピアノを披露しても仕方がないと思ったのかもしれない。一人はアイドル歌手(wink)の振付を加えた踊りをした。勿論、これは受けたが。
技術者にも似たようなことが言える。
例えば、自分が希望しない将来性の乏しい職場勤務を命ぜられる場合がある。むしろ、そんな人の方が多いはずだ。
もし、あなたが自分のやりたい仕事をやっているとしたら、非常に恵まれた職場だと会社に感謝するべきだ。
私は大学を卒業してからコンピュータのソフトウェアの開発以外の仕事をしたことがない。経験は30年を軽く超えている。
やりたくない仕事は30%はあった。15%は逃げ出したくなるような超過酷な職場環境だった。残り25%は可でも不可でもない職場。残り30%が自分が楽しいと思えた仕事だ。
そうなんだ、30年以上開発の仕事をして、楽しいと思える仕事は30%位しかなかったのだ。
全く役に立たない無駄な経験は(数か月間だったが)2つ3つはした。
しかし、今振り返って見れば、それを除くと無駄な経験はなかったと言える。大変つらかった仕事も、今となって良い経験となっているからだ。
まずは、今の仕事を全力でやることだ。
但し、本当に自分が望まない作業が続くなら、そのときは上司に相談すべきだ。