かなり前の番組だが、好評だったNHKのプロジェクトXの 『 運命の最終テスト ワープロ 日本語に挑んだ若者たち 』 のDVDを図書館で借りた。
森健一さんは、東芝で日本語ワードプロセッサーを開発した人で、私でも名前は良く知っている。
しかし、その裏側の苦労話まで知らない。
そんな知らない人のために、簡単に本編の内容を記載する。
欧米人は26文字のアルファベットを駆使して、タイプライターで契約書を作る。
かたや日本語は48文字のひらがなと5万語の漢字がそこにそびえ立つ。
高度成長期時代の日本、企業間取引の契約書の作成に手書きって訳にはいかない。
しかし、当時は和文タイプの出来る人は少数だった。
そこで、森健一さん達がワープロ作成に挑戦するというストーリーだ。
(1)当初、伊藤忠商事らが カタカナのタイプライター を使用していた模様。
しかし、文章がカタカナだけだと問題も多い。第一読みづらくて仕方ない。
『カテイノモンダイ』→家庭、課程、仮定 いったいどれなのか分からない。
文章の前後で推測するしかなかった。
(2)パネルに漢字一覧表を作成し、それを選ぶ漢字テレックスも試作した。
さらに2500個の漢字を5mm角のマス目に埋めて、それをペンでタッチする方式も取り入れた。
しかし、5mm角のマス目を選択するのは間違いも多く とても使い物にならなかった。
(3)どこの企業もさじを投げた。
考えて考えた末に、ひらがなで入力して漢字に変換する方式を採用することとなった。
ポイントは辞書だった。日本語は同音異義語が多過ぎる。
当時のコンピュータの性能では、文章の意味を理解して漢字を選ぶことは不可能だった。
(4)辞書も膨大で、記憶装置がタンス4個分になったと言う。
かんきょうおせん→かん(80種類の同音異義語)きょう(50種類)お(15種類)せん(60種類)
この組み合わせだけでも360万通りになる。(驚異!)
変換スピードに20秒かかったらしい。これじゃあ実用に耐えられない。
しかし、彼らはこれを3秒に縮めることに成功した。
どうやって?
解決方法は全然技術的な話ではなかった。