最近、メインフレームに関する撤退に関する記事を頻繁に目にする。
富士通は、メインフレームの販売を2030年度末に終了し、2035年度には保守も終了する。国内には残り約500台あり、そのうち移行方針を決め切れていない企業が20数社あるという。
日立もメインフレーム事業から撤退し、独自OS「VOS3」の保守を2034年12月に終了する方針だとか。
富士通、日立と続き、国産メインフレームはいよいよ終幕へ向かっている。
と思ったら、話はちょっと違った。
2035年? まだ8年ある? 8年しかない?

大企業の基幹システムは、数百万行から数千万行ものプログラムで構成されている。
現行システムの調査分析、移行計画、プログラム変換、テスト、データ移行、並行稼働、本番切り替え。巨大な基幹システムなら10年近くかかっても不思議じゃない。
しかも、メインフレームはCOBOLだけで動いているわけではない。
JCL、データベース、固定長ファイル、文字コード、各種帳票、夜間バッチ、オンライン、外部システムとの連携・・・特に金融システムは全業種の中で最も複雑だ・・・それを全て確実に再現しなければならない。
つまり単にCOBOLをJavaに変換するだけじゃ済まないのだ。
メインフレームは終わる。しかし、COBOLの仕事は終わらない
むしろ、これから忙しくなる。
名探偵!COBOL技術者

長い間、COBOLは「古い言語」と言われてきた。
「まだCOBOLをやっているの?」と冷ややかに言われた技術者も少なくないだろう。
しかし、脱メインフレームにCOBOLを正確に解読できる人が絶対に必要になる。熟練エンジニアでなければならないのだ。
「なぜあっちは切り上げ、こっちは切り捨てるの?」
「なぜ月末だけ処理の流れが変わるの?」
「何故ここに変数が2つ存在するの?」
「この意味不明な分岐を消しても大丈夫なの?」
数十年前のプログラムには、当時の法律や会計制度、取引先との約束、会社独自の業務が埋め込まれている。設計書には書かれていない。誰も理由を知らない。
しかし、消すと何かが起きるかもしれない。
この謎を解くのがCOBOL技術者なのだ。
エンジニアが消えてしまう前に

60歳を過ぎたベテラン技術者が、「そろそろ引退かな」と言うと、
「ちょっと待ってください!」
「その前に、システムの仕様を全部残してください」
「システム移行完了まで残ってください」となるかもしれない。
会社で唯一、システムの中身を知っている人物。
仕様に書かれていない、本人の頭の中だけの仕様もある。
こうなると、もはや単なる技術者ではない。
人間重要文化財なのだ。
企業は、COBOLエンジニアが消えてしまう前に、その知識を含めて新システムへ移行しなければならないのだ。
AIにも否定できるCOBOLエンジニア
2026年6月、富士通と日本IBMは、COBOLアプリケーション刷新で協業を開始した。富士通が既存資産を解析・変換し、IBMがAIで変換後のコードを改善・検証する。話だけ聞くと凄いことにチャレンジする。
しかし、AIが登場して作業人数は減っても、COBOL技術者がゼロになることはないだろう。
AIが変換したプログラムは正しいのか。従来と同じ結果になるか。
処理時間が延びて、翌朝の業務に間に合うか。
それを判断できるのは、銀行業務とシステムを熟知する人だ。

AIがCOBOLをJavaに変換する。
それを見たCOBOL技術者が言う。
「違う! 違う! そうじゃない」
別の言語に変換しただけでは、システムは正しく動くとは思えない。
どうやら、生成AIが書き換えたプログラムの間違いを直す仕事まで回ってきそうだ。
AIは会社の歴史まで知らない
世界的なIT調査会社ガートナーによれば、2026年に開始されるメインフレーム離脱プロジェクトの70%超が、期待した効果を得られずに終わると予測している。
理由の一つが、生成AIの過大評価だ。
AIはプログラムを変換できても、会社が何十年も積み重ねてきた歴史までは理解していない。
取引先との昔からの約束。
特殊なときに発生する請求ロジック。
一部の顧客だけのみ適用される例外処理。
年に一度しか動かない処理。
こうした会社固有の事情が、基幹システムには大量に埋め込まれている。
生成AIはコードを書き換えられても、その会社の歴史まで書き換えられない
COBOLエンジニアの最後の大仕事

もちろん、COBOL市場が永遠に続くと思っていない。
必要なのは新しいCOBOLシステムを作る人ではなく、古いCOBOLを読み、業務ロジックを読み解き、新しいシステムへ安全に引き渡せる人である。
やっかいなのは移行期間中は、新システムを作りながら、古いシステムも守らなければならない。
二重運用が発生する。
仕事は残る。人は減る。
当然、残ったCOBOL技術者の価値は上がる。
これまで「古い技術」と言われ続けてきたCOBOL技術者に、最後の大仕事が回ってくるわけだ。
メインフレームを守り続ける仕事じゃないメインフレームを、無事に終わらせる仕事であるそして、姿を変えたメインフレームシステムは新しい基盤で動き続ける。
還暦越えのCOBOL技術者の皆さん!
まだ引退している場合ではありません。
2035年を過ぎても、しばらく仕事は山ほどありそうです。
※注:画像は、記事に合わせて生成AIで再イメージしたものです。
















































