1984年頃~
日本語FEPはMS-DOS時代を経験した人なら知らない人はいない言葉だ。
しかし、今や「日本語FEP(フェップ)」は死語となった。意味を説明すれば「あ~あのことね」となるんだけど。FEPは、Front End Processorの略であり、日本語入力には無くてはならない機能だが、今やFEPなんて誰も意識していない。私もこの記事を書くために「日本語FEP」の言葉を登場させたくらいだ。
大型汎用機時代の日本語変換は、各メーカーの独自OS上で動作していた。ワープロ専用機の場合、各メーカ-のアプリケーションに組み込まれて販売された。パソコンの場合、そのOSによって提供されていた。MS-DOS、Windows、macOS、UNIX、組み込み系、メーカー独自機器などいろいろだ。
日本語FEP VJE-Σ
私が使用していたMS-DOS時代の初期のPCであれば、バックスVJE-86(1984年)が一つに挙げれるかな?
パソコンが貧弱な時代は、あらかじめデバイスドライバとして実装されていた。実装しておかないとアプリケーションを動作しても日本語が使えないからだ。だからFront End Processorって言ってたんだけど。
日本語FEP Katana(刀)
ハードの性能とOSが進化し沢山の日本語FEPが登場する。この頃になると日本語FEPと言うより、かな漢字変換による日本語入力システムの意味合いが強くなっていく。
日本語FEP ATOK
私が経験したものでは、VJE、一太郎のATOK、管理工学研究所の松茸、サムシンググッドのKatana(刀)などがある。どれも当時はMS-DOS時代のパソコンソフトを大ヒットさせた有力企業だった。日本語入力システムの一覧
どのFEPが使い易かったって?・・・私は長文をタイプする小説家でもないので、どれも大差なかった。ちょうど富士通オアシスが日本語変換に「親指シフト」と称しキーボード配列まで拘ったが、世の中に文字入力を仕事とするヘビーユーザーはそれほど多いわけでもなく、一般ユーザーはFEPの性能に深く関心はなかったと思う。ストレスなく使えればそれで良いって感じだ。
日本語FEP Katana(刀)のシステムディスク
但し、Windowsが登場した頃、マイクロソフトのMS-IME(エー・アイ・ソフトのOEM製品)の日本語変換は変換率を含めて使い勝手が悪かった。この時は、徹底的に研究開発したATOKは優秀だと強く思った。ジャストシステムも「日本語変換なら日本人が開発したカナ漢字変換システムATOKを!」なんて感じで一生懸命宣伝していたものだ。
当時の思いは今もなおジャストシステムのサイトで引き継がれている。結果的にMicrosoftのワードにシェアこそ奪われたが、日本語ワープロソフトの一時代を築いた素晴らしい企業であり、今もATOKは高く支持されている。
【参考画像】日本語入力システムが素晴らしくまとめられている。各日本語入力プログラム(MS-DOS時代)を参照して欲しい。もう素晴らしい資料だ。脱帽!