065 初めて買った32Bit PC(#1/4)
1990年
私が初めて個人として購入したPCは、エプソンPC-386M STDって言う製品で、かって秋葉原で有名だったステップ(STEP)と称する低価格ショップで購入したものだった。40MBのHDDも一緒に購入した。
このステップは、5つのノー(NO!)で低価格を実現する知る人にはかなり有名な店舗だった。
5つのNOとは、説明、展示、交換、解約、無料サービス これらが全てNO!ってことなのだ。ひえ~凄!
店頭には商品は陳列されず、段ボールに商品が入ったままで商品を販売していた。勿論、店員から説明は無しで、故障した場合も交換も出来ない。かなり大胆な戦略だ。
ステップのチラシは、コンピュータ雑誌で頻繁に見かけた。店頭に行けば、A2サイズ程の大きな紙に小さな文字で製品名と金額がビッシリ記載された価格リストなるチラシが店頭前のワゴンに多数置かれていた。秋葉原を行き交う人が、チラシを手に取ってチェックする訳だ。
私が個人で初めて買ったエプソンPC-386M STDがチラシに掲載されている。チラシを見ると当時の販売定価は 328,000円だ。ステップの価格リストには 246,000円と記載されている。
PC-386Mは1990年2月メーカーから発売されている。チラシの価格リストは1990年3月15日。当時は定価を表示しているため値引額が容易に把握出来る。もっとも現在と当時とは異次元のPCスペックであり、現在は限界近くまで安くしているため価格はまるで参考にならない。
まさにPC-386Mを40MBの外付けハードディスクと合わせてこのステップ秋葉原店で購入した。
ステップが健在だった頃、ステップのチラシを手に入れるため秋葉原駅を降りることもあった。店内は倉庫のように段ボール箱のまま置かれていた。勿論、店内に商品ディスプレイは一切ない。客がチラシから商品を指定し、店員が梱包されたままの商品を持ってきて原則現金で支払う。もし、持ち帰って不良品であっても返品は出来ない。不具合はメーカーに言うしかない。
当時のハードウェアは、今と違って不具合が多く、動作しないハズレ商品も少なからずあった。今の時代、PCを購入して動かないことは殆どないが、当時のPCは動作不良の製品が適度の確率で存在していた。
当然ながら、5つのNOに若干の購入に迷いが生じる。マニアやPCに詳しい人には非常に安くて便利な店でも、初心者には敷居がかなり高い。それでもステップの人気が高かったのは、やはり徹底的な低価格路線を進めたからだろう。
返品・交換できない条件で安く販売している。客もそれを了承して購入する。
ある日 客と店員が揉めている光景に遭遇したことがあった。
何か動作不良でもあったのだろう。「交換して欲しい!」、「当店では対応出来ません」って感じで揉めていたのだ。
店頭にA2サイズ大のチラシが置かれ、
表も裏もビッシリ細かく記載されていた
パソコンが広く浸透するにつれ、ユーザーは大幅に拡大していくが、このマニアックな販売スタイルでは、広く購入者の囲い込みが出来ず、後半には5つのNO!を廃止したりもしたらしいが、結局 1996年9月に倒産した。
決して忘れない。実は EPSON PC-386M-STDと一緒に購入した周辺機器の40MBハードディスクは動作しなかった。これ嘘でなく真実の話だ。
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【謝辞:ステップ画像ネタ】
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