前回マイクロソフトマネーの記事を書いた続編でそれに関する記事を書こうかな。
マイクロソフトがファイナンス関連のソフトを出す前にインチュイット(Intuit)なる会社があった。その会社は1984年12月にクイッケンなる財務会計ソフトを販売した。
Quicken for DOS Ver7 (1984)/Quicken 5.0 Windows 95(1996)
財務会計ソフトと言う特異性もあって、マイクロソフトと接点も無く1980年代は平和な日々を送っていた。インチュイットは会計ソフトの優良企業として成長していった。
しかし、マイクロソフトがファイナンス分野に進出し始めようとすると雲行きが怪しくなっていく。マイクロソフトは、インチュイットのクイッケンを気に入って企業買収さえ持ち掛けるのだ。
結論から言えば、これは成功しなかったんだけどね。
「AOL(超巨大ネット・ビジネスの全貌)」の155頁にこんな文面があるんだ。要約すると、「1994年10月 司法省はマイクロソフトを別件で追っていた。それが、会計ソフトのトップメーカーのインチュイットを20億ドルで吸収合併する計画だった…翌4月に司法省は合併の差し止めを行った。マイクロソフトは合併の計画を撤回した」と・・・。
また、オラクルの創業者のラリー・エリソンを描いた「カリスマ(上巻)」の18頁にこんな面白い記載がある。
1990年代の半ば、スチューワート・フェイガンと言う社員が、財務管理ソフト「クイッケン」なるソフトウェアを買って、財務管理に乗り出した。しかし、クイッケンは小数点の左側が7桁までしか扱うことが出来なかった。株の額面はそれを超えていた 🤣・・・いかにオラクルが儲かっていたかが分かるね。
マイクロソフトは Windows3.0 を発表する1990年頃、対抗製品としてマイクロソフトマネーを投入するんだ。
長年培ってきた製品を超えるソフトなんて そう簡単に出来るはずもなく、マイクロソフトマネーはインチュイットに見事に惨敗している。が、数年後 日本国内にもマイクロソフトマネーは発売される。そうです 私も購入した一人です(笑)。
ちなみに、現在 会計ソフトで有名な「弥生会計」は、2003年にインチュイットから独立分離している。だから深い関係があるんだ。2004年にライブドアに弥生会計は買収されるんだけど、その後ホリエモンが逮捕されたため、弥生会計の社長だった平松庚三さんがライブドアの社長になるんだ。当時はやたらと世間の注目を浴びた事件だったけど「弥生会計」の経緯を知っていたのでちょっと自分の受け止め方は違っていた。
弥生会計は、現在も日本国内の会計ソフト シェアNo1の実績を誇る。個人事業主や中小企業経営者で弥生会計を使用している人は多いんだ。ちなみに私もこの会計ソフトを創業時から長く使用しています。
堀江社長が弥生会計の宣伝で製品紹介していて、その後にライブドア事件が起きる。私は会社で弥生会計を使用している関係もあって「この製品を使い続けていて、いきなり無くならないよね」と思ったもんだ。まあ心配は不要だったんだけど。
尚、インチュイットは現在もアメリカに存在するソフトウェア企業だ。マイクロソフトに睨まれても現存している非常に数少ない企業だ。マイクロソフトは企業買収もできず、インチュイットを叩き潰すことが出来なかったのだ。
大袈裟な表現ではなく、ひょっとしてマイクロソフトが負けを認めた唯一の会社なのかもしれないね。