自分コンピュータ史

087 ジョブズの本音、死ぬほど怖かった

085 ジョブズの本気、世界を変える(その3)
1986年~

1986年 NEXT社設立、ジョブスは失意とともにアップルを去った。アップルのメンバー5人を連れて新たにNeXT社を設立している。このメンバーの件でジョブズはアップルから訴えられている。

ジョブズは言い返した、「4300人以上を擁する20億ドル企業が、ブルージーンズを吐いた6人に太刀打ちできないなんて考えられないね」[ジョブズ伝説 P204]

しかし、立ち上げ時の本音も垣間見られる。

アップルから独立して成功できるのか、私(著者)には確信が持てなかった。スティーブ本人も含め、誰にも分からなかった。「死ぬほど怖かった」と彼はわたしに打ち明けている。[ジョブズ・ウェイ P175]

NeXTcube
NeXTcube(1988年)

1988年10月、渾身のNeXTcube(正式名称:NeXT Computer)を発売したが、価格が高く商業的に失敗した。
【関連】074 ジョブスが追い求めた理想なるPC

ジョブズなきアップルは次の製品が出ず、アップルは顧客離れが加速し危機感を募らせた。その大きな理由はマイクロソフトWindowsの急速なシェア拡大にあった。特にWindows95の発売による市場拡大でアップルは窮地に追い込められる。

ジョン・スカリー、マイケル・スピンドラー、ギル・アメリオとCEOは変わったが経営状態は変わらなかった。結論だけ記載すれば、アメリオがCEO時にAppleはNEXT社を買収し、ジョブズは1996年 非常勤顧問という形で復帰することになる。この経緯を書籍で読むと、まるでドラマ仕立てのように非常にスリリングで興味深い内容に描かれている。是非、読んでみて欲しい。

初代iMac
初代iMac(1998年)

墓場で一番の金持ちになることは私には重要ではない。夜眠るとき、我々は素晴らしいことをしたと言えること それが重要だ。名言だ。ちなみにジョブズがアップルに復帰した際は年収1ドルだった。

ビル・ゲイツも似たようなことを言っている。私の興味をひくのは金儲けそれ自体ではありません。もし仕事と莫大な財産のどちらかを選べと言われたら、仕事の方を選びますよ。預金が沢山あるより、何千もの才能ある人材が集まったチームの指揮を執っているいるほうがずっと刺激がありますから。 [ビル・ゲイツの思考哲学 P139]

1997年 正式復帰(2000年 CEO就任)しているが、瀕死に直面しているAppleにジョブズ自身もどうして良いか分からなかったようだ。

ジョナサン・アイブを加え、1998年08月 iMacを発表する。
スペック的には普通のPCだったが、見た目とマーケティングで大きな話題となった。

初代ウォークマン
初代ウォークマン(1979年)

その後、iPodを発表する。言い方は悪いけど ソニーのウォークマンをデジタル版に改良したものだ。ソニーは何故 若者の音楽スタイルを変えたウォークマンのデジタル版を作れなかったのか? [スティーブ・ジョブズの流儀 P239]と[ジョブズ伝説 P389]にその理由が触れられている。

初代iPod
初代iPod(2001年)

余談だが、ウォークマンがヒットした頃の私は学生時代だった。次々に機能アップした製品や類似品が登場した。好奇心でソニー以外の製品、東芝 Walky(ウォーキー)を使用したこともあった。当時は驚くほど沢山の競合他社製品が発売されたのだ。しかし、どの類似品もウォークマンに勝てなかった。音楽スタイルそのものが[ウォークマン]になってしまったからだ。

初代iPhone
初代iPhone(2007年)

このiPodは音楽配信市場を大きく変えた。そして2007年、ジョブズ伝説のプレゼンとなるiPhoneが登場する。私が最初にiPhoneを手にしたとき、どうやって電話をかけるのかさえ分からなかった。携帯電話の開発段階でジョブズは、ボタンを1個しか付けないと決めた。エンジニア陣から繰り返し、ボタンが1個の携帯電話なんて不可能だ、と反対の声が出た。しかし、ジョブズは「ボタンは1個だけだ」と耳を貸さなかった。[ジョブズ・ウェイ P40]

個人的にずっとガラケー端末を使い続けていたが、2011年頃のiPhone4からアイフォンに切り替えた。その後は ずっとiPhoneユーザーとなっている。

iPhoenがその後どうなったかはご存知のとおりだ。アップルはPC、音楽、携帯電話による情報通信を劇的に変えている。


アップルヒストリー(クリックで拡大)

(#2/4 戻る)(#4/4 続く)

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