当時、私が在籍していた会社の制御システム開発グループに2年後輩の西田氏と称す人物がいた。
秋田出身の秋田大卒。気が優しくて頭の回転が早い男だった。2人して合コンに出掛けたこともある。結果はどうだったかって?30歳前後のITビジネスマンはもてたのだ(笑)。
その彼が転職した会社が、これまで話してきたノンストップコンピュータのタンデムコンピュータズ社 (Tandem Computers, Inc.) だった。勿論、日本タンデムコンピュータズ社のことだ。
「良い会社に転職したなあ」と、その時は思った。
しかし、数年後の1997年 タンデムコンピュータズは コンパックコンピュータ社 (Compaq Computer Corporation) に買収されてしまう。
コンパック社はパソコン専門会社からハイエンド層にも手を伸ばすためタンデム社を買収したのだろう。
翌年の1998年 コンパック社は DEC社 (Digital Equipment Corporation)を買収する。
コンピュータ総合企業を狙ったのだろう。
自社より事業規模の大きな会社の買収は無謀だったのかもしれない。2002年 コンパック社は ヒューレット・パッカード社 (Hewlett-Packard Company) に吸収合併されてしまう。
彼とは暫く年賀状のやりとりをしていたが、今でも忘れない下記の迷文句なる文面を貰った。
「わずか数年で、会社を辞めないで、会社を3つ変わりました」
DOS/Vが流行った頃、秋葉原の電気街にはコンパックをはじめ、幾つも低価格DOS/V機が登場した。
当時の秋葉原は、私が知る限り電気街として絶頂期だった。今のヨドバシカメラ秋葉の活気あるフロアが秋葉原の大通りから裏路地まで広がっていた感じと言えばイメージ出来るだろうか。
コンパック社が隆盛を誇っていた時、会社にあったマルチメディアPC
当時、コンパック社って所詮パソコン製造販売会社だろう?
当時の私は低価格パソコンを出していたコンパック社を非常に低く見ていた感があって、NonStop Computer の名門企業タンデム社が何故買収されたの? 80年代 業界をリードしていたコンピュータの優良大手DEC社が何故コンパックごときに買収されるの? と不思議で不思議でならなかった。
当時を振り返れば、タンデム社やDEC社の方がコンパック社より遥かに優良企業と信じていたからだ。
ひとまずタンデム社のノンストップは、HP社のサーバ部門に移ってはいるようだが、精神も伝わっているのだろうか?
実は、タンデムス社はもともとHP社の一部門から独立した会社なのだ。再び古巣に戻ってきた表現になるが、理解されなかった故に独立した訳だからノンストップの精神は微妙ではないかと思ってしまう。
コンピュータ業界の生き残りは激しい。