085 ジョブズの本気、世界を変える(その4)
2010年~
2011年、ジョブズが病気療養中に、ビッグな人が自宅に訪れている。グーグルの共同創設者 ラリー・ペイジ。マーク・ザッカバーグ、その中にビル・ゲイツもいた。ジョブズの自宅を訪れたゲイツは、3時間ばかりお互いの人生を語り合ったようだ。[ステーブ・ジョブズ Ⅱ P405] に記載されていない歴史的なエピソードが幾つも語られたはずだ。
ジョブズとゲイツ ※1
ジョブズの死去に際して、ゲイツは声明を出している。
「スティーブと私が出会ったのは30年近く前のことで、人生の半分以上を仕事仲間、ライバル、友人として過ごしてきました。スティーブのように大きなインパクトを世の中に与える人物は、めったに表れるものではありません。その影響は、この先何世代にもわたって続いていくことでしょう」[ビル・ゲイツの思考哲学 P167-168]
Macintosh向けの 初代Excel ※2
ゲイツは1985年 Macintosh向けに初代Excelを開発提供、1986年にMacintosh向けにオフィスソフトを開発提供している。
1996年ジョブズがアップルに復帰した頃、ジョブズはゲイツに頭を下げて手を結んで貰うことにした。マイクロソフトは約1億5千万ドルでアップル社の株を買い入れ、アップル社のソフトウェアの開発を続けることに合意した。[ビル・ゲイツの思考哲学 P166]
ただし、ジョブズは感謝の言葉として「これでうちの会社もやり易くなるよ」と、相変わらずのジョブズ節だったようだ。総合的に判断すればビル・ゲイツの方が大人に思える。
ジョブズ自身の最後となる基調講演は2011年6月6日だった。iCloud構想だ。その10年前の2001年1月のサンフランシスコで開催されたマックワールドでジョブズはデジタル・ハブ構想を提唱している。全ての機器の中心はPCに位置付ける構想だった。[流儀 P220/伝説 P358より引用]
しかし、10年を待たず主流は変わっていた。ジョブズは、中心になるのはもはやPCではなくクラウドだと。それがiCloud構想だ。
2011年6月6日 iCloud構想を語るジョブズ ※3
2010年4月初代iPadは28日間で100万台が売れた。この時 ビル・ゲイツは「PCの登場でコンピューティングがバックオフィスから各自の机と移動しました。~中略~ タブレットという形のPCには、基本的に制限はありません。もう5年もしたら、きっと、米国でもっとも人気の高い形式になっているだろうと思います」と語った。[スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション P108]
このビル・ゲイツの発言は2010年だ。ゲイツでさえもこの予想だったのだ。僅か数年後はクラウド中心の世界になるなんて予想出来なかったと言うことだ。
最後の基調講演を行ったiCloud構想から10年以上も経過した。先を見据えてiCloudを提唱したジョブズであれば、次なるイノベーションは何だっただろう、合計2500ページ超の数冊の本を読み終えて改めて思った。
アップルヒストリー(クリックで拡大)
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アイキャッチ BUSINESS INSIDER
※1 ジョブズとゲイツ
※2 初代Excelの開発秘話を当時の開発チームメンバーが公開
※3 June 6, 2011: Steve Jobs talks about the iCloud