1985年~2000年初頭
Adobe製品とウェブクリエーターたち(#1/5)
Adobe製品を触ったことがなくても多くの人はイラストレーター(Adobe Illustrator)とフォトショップ(Photoshop)の存在を知っている。実はアドビの最初の製品はこれらではなくポストスクリプト(PostScript)だったんだ。PostScriptこそAdobeの原点なんだ。PostScriptは、一言で言えば印刷におけるページ記述言語。これにはスティーブ・ジョブズが大きく関係してくる。
Illustrator10.0 2001年/Photshop5.5 1999年
Adobeの創業者2人(チャールズ・ゲシキとジョン・ワーノック)は、PARC(パロアルト研究所)に在籍していた。ジョブズがPARCを訪問し、GUIに感銘を受けMacを市場に投入したのは有名な話だよね。その2人は、PARCで開発したページ技術言語が製品化される見込みのない不満からPARCを辞めて、1982年12月にアドビを興すんだ。
ジョン・ワーノック(2023年 82歳没)/チャールス・ゲシキ(2021年 81歳没)
画像出典サイト
1983年 スティーブ・ジョブズは、そのアドビ創業者2人(ゲシキとワーノック)からPostScriptの技術を見せつけられ大きな衝撃を受ける。その頃に発売予定だったキャノンのレーザープリンターにアドビのPostScriptを組み込んでLaserWriterを商品化する。1984年から1985年の頃だ。
ちなみにAdobeのPostScriptを搭載したキャノン製LaserWriterは発売当時6995ドル、当時は1ドル約240円として170万円位になるのかな? Macより高額ながら性能を評価されLaserWriterは売れまくった。冗談な表現だけど一時期 アップルは世界最大のプリンターメーカーになったわけだ 😆 その後、キャノンとアップルは親密な関係は続く。
ジョブズはAdobeに投資するも、ジョブズがアップルに引っ張ってきたCEOのジョン・スカリーは、得体の知れないAdobeのPostScriptの投資に疑問視していたらしい。
Apple MacintoshとApple LaserWriter(1985)
無名だったAdobeは、PostScriptと共に一躍認知されることになる。MacintoshとAdobeのPostScriptはペアとして売れに売れた。今も印刷業界・出版業界、デザイナーにMacが多く使われるのは、単にAppleがお洒落だからでなく、もともとAppleとAdobeが印刷デザインに特化していたからだ・・・と私はずっと勝手に思っていた。
とにかく初期のAdobe製品は高価だった(今も高価だけど)。このあと登場するイラストレーターやフォトショップは、印刷・出版・デザインのプロが使うツールであり、私ごとき素人が踏み込められない領域と思っていた。
Paint Shop Pro、ライバルはアドビ
イラレやフォトショは印刷のプロが使うソフトの意識が自分にはあったため、自分が購入するにはちょっと敷居が高かった。プラス価格も非常に高かったため、代替として1万円前後の価格が圧倒的に安いJasc Paint Shop Proを使用した。Paint Shop Proは、Adobe Photoshopを強くライバル視しているだけあって、低価格に関わらず機能は非常に充実していた。特にプラグインは世界中の当ソフト愛好家が提供し、高価なAdobe製品なんか無くても全然困らなかった。
そんな中、2001年 一般ユーザ向け廉価版 Adobe Photoshop Elements1.0 が発売された。Adobe Photoshopに憧れていた私は迷わず購入した。製品そのものは決して悪くなかったが、Photoshopとかけ離れた超初心者対応に非常にがっかりした。
その後、私は趣味が高じてデザイン系に手を染めるようになり、macromedia STUDIO MX(2002年)、AdobeCS(Adobe Creative Suite)を使用するようになる。もともと音楽やアートが大好きだったからだ。
個人的に慣れ親しんだPaint Shop Proは、ver6(1999年)、ver7(2000年)、ver8(2003年)まで使用していた。ver6とver7は非常に使い勝手の良いツールだったが、ver8から徐々に使い難さを感じ、ver9は購入さえしていない。
2004年、Jasc SoftwareはCorelに買収され、ver10以降はCorelからPaint Shop Proは販売されることになる。浮気心にver10を購入したが、Adobe Photoshopをライバル視した往年のソフトだったことを微塵も感じさせない操作性に大きく落胆した。既にPaint Shop ProはAdobe製品のライバルでも何でもなくなっていた。落胆と同時に私はMacromedia製品、その後のAdobe製品へと完全移行していくことになる…。
何も知らない素人からのスタートだったが、この後のウェブクリエーターご用達 MacromediaとAdobe製品を使用することになるんだ。このアプリケーションソフトはウェブ制作と連動していく。