自分コンピュータ史

004 大型汎用機の新たな道

 大型汎用機(メインフレーム)のことを書いていると、何を今更って思われるかもしれないが、過去の歴史は重要だ。これから目覚ましくハードとソフトが進化していく過程が分かる。


新規にシステム構築する場合、今や汎用機の選択はなく、WindowsもしくはLinuxによるシステム構成となる。そう考えれば、どうしてもメインフレームは終わったと感じる人は少なくないだろう。

メインフレーム機器構成
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この資料は、「みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史」日経BP社発行の資料を私が少しアレンジしたものだ。現みずほ銀行のハード構成だ。

これをみるとメインフレームのOSは全てz/OS。これは、過去のMVSのCOBOL資産を引き継いで活用するためだ。当然、言語はCOBOLだ。

前述したように、メインフレームは日本のメガバンクを筆頭とする金融・生保・損保などの大企業が現存する限り生き残ると思うが、ハードそのものはフェイドアウトし、名称を変えた新しい高性能ハードウェアとして生き続けていくだろう。
 
その理由の一つとして、IBMは2018年 Red Hatを買収している。
表内のOS欄の RHEL(レル)とは Red Hat Enterprise Linux のことだ。IBMはこの技術をメイン事業に組み込んできている。開発言語はJavaだ。COBOLと真逆な思想を持つ言語だ。

何故 基幹部分は相変わらずCOBOLなの?と思う人もいるだろうが、これまで培ってきた膨大なCOBOL資産を捨てれない結果だ。Javaでシステムを全面置き換えることは、はっきり言ってかなり危険だ。言語が異なれば設計思想から見直す必要があり、プログラムロジックが変わってくるからだ。

Javaでシステムを置き換えるには相当の勇気がいる。もし私が現役バリバリで開発責任者だったら、基幹系を全面的に置き変える勇気はない。新しくシステムを作り変えるにしてもCOBOLからCOBOLであれば比較的安全と考えられるからだ。

RHELはLinuxであり、主要言語はJava、俗にいうオープンシステムの考えで構築されている。日立製作所や富士通の名前があってもOSはRHELばかりで不思議に思うかもしれない。z/OSもRHELもIBM社の資産であり、要は日立製作所も富士通もIBMから供給を受けているってことだ。

であれば、今後の大規模システムの動向を知るには、IBMの今後を知るのも選択肢の一つになりそうだ。


アイキャッチ画像:IBM 最新メインフレームz15 出展

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