1980年代中旬~1990年代中旬
Adobe製品とウェブクリエーターたち(#2/5)
1984年と言えばMS-DOS3.0が全盛の頃であり、Macintoshが発売された年でもある。1985年になるとAldus PageMaker(アルダスページメーカー)なるDTPソフトが登場する。
前回、PostScriptのことを記載したけど、Macintoshで印刷するためにはレイアウトソフトが必要だよね。このときに登場するのがAldus PageMakerなんだ。1985年のことだ。
当時は自由に資料をレイアウトする術がなかったため 広告・印刷・デザイン関係者の要望にピッタリ一致したってわけだ。
3Aの登場
Apple MacintoshとAdobe PostScriptが画期的だったため、この機能を最大限に生かせるソフトウェアとしてAldus PageMakerが注目された。当時は3Aなんて紹介されたもんだ・・・完全なこじつけだけどね😁
この時にアルダスのポール・プレイナードが机の上で出版が行える意味合いで、DTP(Desktop Publishing)と名付け、DTPなる言葉が広まり、今でもDTPの言葉は使われている訳なんだ。
当業界に在籍していた関係もあり、私は日経BP社のコンピュータ専門誌を複数定期購入していた。そこにAldus PageMakerの広告を何度も目にした。デザイン・印刷向けソフトであることは直ぐに理解できたが、自分の仕事にまるで接点がないため、それで終わっていた。
印刷のことは詳しくないが、レイアウト・デザイン、写植、版下、製版、印刷の流れで、途中で修正が発生した場合、文字やデザイン部分を切り抜いて糊で張り付けて版下を顧客に提示する・・・こんなアナログ時代は確かにあったんだな。
3Aの登場により圧倒的に印刷工程が効率化されることになる。きっとデザイン広告出版業界にとって革命的なソリューションだったんだろうね。
前回の記事にも記載したが、ジョブズはAdobeのPostScriptに深い関心を示すも、ジョン・スカリーはその手に関してまるで興味が無かった。そのためジョブズ時代はAdobeはアップルと友好な関係だったが、1985年ジョブズがアップルから去ることを知って、アドビ創業者のゲシキとワーノックは不安が走ったらしい。
その後、Aldus PageMakerだけでなく、レイアウトソフトは市場に幾つも登場し、1987年QuarkXPressなるDTPソフトが登場する。QuarkXPressは、いつしかAldus PageMakerのシェアを抜き去り、暫くDTPソフトとして君臨することになるんだ。当時の日本はQuarkXPressが定番ソフトだった記憶さえある。まあそれは別の機会に。
なんだかんだ言って、80年代後半から90年にかけてイラストレーターは、DTPソフトの一つとしてバージョンを重ね機能を充実していくことになる。いづれAdobeは、デザイン・印刷・出版に留まらず、ウェブ・映像制作ソフトを取り揃え時代を突き進んでいくんだ。
アドビの初代製品 (時代比較として他社も記載)
・1984年:Apple社 初代Macintosh
・1985年:Adobe PostScript Level1
・1985年:Microsoft Windows1.0
・1985年:Apple社 LaserWriter
・1985年:Aldus PageMaker ver1.0
・1987年:Adobe Illustrator ver1.0
・1987年:IBM OS/2 ver1.0
・1989年:Adobe Illustrator 日本語版
・1989年:QuarkXPress 2.0J
・1990年:Adobe PostScript Level2
・1990年:Adobe Photoshop ver1.0
・1991年:Adobe Premiere ver1.0
・1991年:Adobe Photoshop 日本語版
・1992年:Adobe Dimensions ver1.0
・1992年:Microsoft Windows3.1
・1993年:Adobe Acrobat ver1.0
・1996年:Adobe PostScript Level3
イラストレーターはもともとAdobe社内で使われていたこのPostScriptから発展しているんだ。理由は次回に。
画像出典:
Aldus PageMaker