これまで触れてきたコンピュータの体験談は、20代、30代の人達にすれば古ぼけた昔に感じたはずだ。
しかし、UNIXワークステーションの体験談は急に現代のコンピュータに近づく。UNIXそのものは1970年代と歴史は古いが、私が知るのは1980年代から1990年代頃に活躍したものだ。
まだ大型汎用機やオフコンが大活躍していた頃たが、UNIXワークステーションなるものが徐々に浸透し始める頃でもある。90年代になるとPCが一気に普及し始め、PCとUNIXワークステーションが住み分けながら進化していくことになる。
UNIXが搭載されたワークステーションは、科学技術計算、グラフィックデザイン、CADなどを扱う分野の高性能マシンだった。
NECスーパーステーション EWS4800/460
特に科学技術計算向けEWS(Engineering Workstation)が活躍した。
私がUNIXワークステーションを業務でフル活用した経験は多くない。業務システム系の開発が中心だったためUNIXワークステーションを使う機会がなかったのだ。某銀行のリスク管理システムでUNIXワークステーションを補助的に使用した程度だ。
しかし、職業柄もあってUNIXワークステーションは私の手の届くところで沢山存在していた。
もともとのUNIXはキャラクタベースだったが、X Windowによる現在のWindows的な動作環境が提供されたときは刺激的だった。とにかくモニター画面が大きく知的で格好良い。
今でこそ誰も驚かないだろうが、黒い背景のテキストだけのモニターが、いきなり解像度の高い美しいウインドウになったときをイメージして欲しい。
と言っても今であれば誰も驚かない1280 * 1024 程度の解像度にすぎない。
しかし、UNIXワークステーションはエンジニアにとって憧れのマシンとなった。多くのエンジニアは UNIXワークステーションに恋した。