自分コンピュータ史

130 言語開発ソフトの雄、ボーランド

1983~2000年代後半
ボーランド(#1/2)

ボーランドなる会社があった。言語開発ソフトを販売する言語開発関係者にはかなり有名な会社だった。Turbo PASCAL、Turbo C、Turbo C++、Borland C++などを有し、マイクロソフトの言語開発ソフトより評価が高く人気があった。更に Delphi なる優れたオブジェクト指向言語製品も投入した。

そのボーランドの社長はフィリップ・カーンと称し、関連書籍にはジャズ好き社長と紹介されていた。CDアルバムを何枚か出しているから腕前は確かだと思う。と言っても自社の販促CDだったようだが。

アメリカでのコンピュータ展示会では、自分のサックス演奏を自社ブースで披露した逸話も残っている。日本でデータショウやビジネスショウがあった時、私も展示会に何度か脚を運んでいる。年齢的にフィリップ・カーンのジャズ熱が盛んな頃だったが、会社のトップが日本に来てまで出展ブースでサックスを吹くはずもなかった。まあ当然と言えば当然だけど。

どうでもよい話で恐縮だが、フィリップ・カーンと言うと、私はキラー・カーンを思い出す(笑)。キラー・カーンは新潟出身の日本人であり、アントニオ猪木や藤波辰爾が活躍した時代に登場していたプロレスラーだ。どちらも巨漢だったので、「カーン」が付くと個人的に巨漢イメージがある。

巷で表計算はロータス1-2-3 、ワープロはワードパーフェクト、データベースならアシュトンテイトのdBaseが主流だった頃、ボーランドは市場にアプリケーション・ソフトを投入する。


Paradox for DOS / Quattro Pro for DOS

1987年にはデータベースのパラドックス(Paradox)を買収で手に入れ、1989年には表計算のクアトロプロ(Quattro Pro)を開発する。データベースソフト Paradox を持ちながらアシュトンテイトを1991年に買収し、dBase と InterBase の2つのデータベースソフトをさらに手に入れる。


Quattro Pro for Windows

業界ニュースを聞いた時、dBase なんて古臭いデータベースを買収してどうするんだ?と思ったもんだが、言語開発ソフト制作会社だけあって技術力はある。改良を加えて販売もしている。但し、どこまで支持されたかは分からない。

もう一つの InterBase は、個人レベルから中小規模、更にエンタープライズにも使用されたデータベースソフトだ。扱う範疇が広くて何かとイメージし難いソフトだったが、OracleやSybase、Informixなんかと競合するようなミッドレンジ向けの製品だった印象がある。

当時、私の在籍していた会社は、ボーランドと提携していたようで、やたらInterBaseとDelphi製品が身近に存在した。Delphiによる業務システムにも乗り出すが、Delphiの開発チームは短命に終わっている。

確かにボーランドの技術力は優れていたが、やたらデータベースソフト製品を抱えすぎた。外野から見ると何が何だか分からなかった。

ボーランドの快進撃をリアルタイムで知る一人として、完成度が高く優れた製品を市場投入していたが、この後にマイクロソフトがボーランド製品を潰しにかかる。怖いよねマイクロソフト。(続く)

関連:081 データベース戦争

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