去る6月15日 水道橋の文京シビックホールで伝統芸術 文化力 聲(こえ)のフェステイバルがあった。
聲(=声)であり、文字通り声だけのコンサートだ。文京区社会教育関係団体の主催者 木村紀子さんから声をかけられての取材撮影だ。
11グループが登場し、語りだけのコンサート。舞台演出は殆どなし、ステージの緞帳の上げ下げも一切なし、出演者の半分近くは椅子に座って朗読だけ。著名なコンサートホールで実に素朴な味わいのあるステージだ。
派手な演出に慣れてしまった現代人 特に若者には、言い方は悪いが退屈なはずだ。しかし、これこそがステージ演出の原点のはずだ。
例えば、生誕146年「樋口一葉 琴の音」の舞台女優 荒川ヒロ子さん、生誕126年「芥川龍之介 蜘蛛の糸」の舞台俳優 堀越健次さん、奥の細道、金色夜叉、雨ニモマケズ・・・改めて朗読されて聴くストーリーに頭の中でイメージするものがある。
お金を掛けた派手な演出は確かに見ごたえがあって楽しい。しかし、100年以上前 一般大衆の娯楽はたかだか知れている。こうした話を聞く事は贅沢な娯楽のひとつだったはずだ。
学生の頃から文学に全く興味のない私が言うのもおかしな話だが、やはり現代まで語り継がれている作品は何かが違う。100年後、200年後も守り続けていかなければいけないと思う。
当然のことかもしれないが、来場される方は年配者が多い。しかし、その中に若い人が混じっていると嬉しくなるのは何故だろう。「出演者の関係者だから来ました」なんて言葉聴きたくないけどね(笑)。
仕事の1割は、こうした撮影や編集を行っている。音や映像に興味がある人なら楽しい職場のはずだ。