自宅で使用している国産パソコンメーカーはどこ?
この質問に、富士通、NEC、東芝・・・などと応える人は多いと思う。
しかし、正確に言えば今やこれらのメーカーは純パソコン国産メーカーではない。
コンピュータは、大型汎用機とかメインフレームと呼ばれ、恐竜が栄えたような大型コンピュータの時代があった。超大型汎用になると1か月のレンタル料だけで数億円した時代だ。1か月のレンタル代が数億円だ!
IBM(日本では日本IBM)がコンピュータの巨人と世界を君臨した時代に日立、富士通、NEC、東芝、三菱…等の国産大型コンピュータが国の支援もあってこの分野に進出した。
自分は、その超がつく大型汎用機を残業に次ぐ残業の日々で、「もう嫌だ!」と言う程 経験した。大型汎用機技術者が年齢的にどんどんリタイヤしていく中で、今もメインフレームからオフコン、ノンストップコンピュータ、UNIX、クラサバ時代のサーバー、PC、現在のクラウドが主流なるウェブシステムまで一連の薀蓄を語れる非常に貴重な存在の一人になりつつある…。
技術の進化でパーソナルコンピュータ(初期はマイコンと称された)は汎用機と違う路線で進化し、個人が手軽に取り扱えるレベルまで到達した。当初のパソコンの雄は、国民機であるNEC(日本電気)のPC98シリーズだった。日本にあるソフトは PC98仕様ありきで作られた。圧倒的な影響力があった。
既にDOSの時代から(正しくはDOSの前から)、IBMや富士通、他の大手メーカーによるパソコンは存在していたが、一般大衆が気軽に購入出来るようになるのは DOS/V機なる黒船が日本に上陸してからだ。
外資系の日本IBM、国内勢の日立、東芝、富士通、NEC、エプソン、その他メーカーがパソコン市場に登場した。DOS/V機はパーツを組み合わせて作れるため、ショップブランド機が幾つも登場した。
しかし、その日本のパソコンメーカーが次々と消えている。
かってIBMの出したThinkPadは衝撃だった。薄くて軽くて機能的で…。そのIBMはパソコン部門を中国のレノボに売却した。日本の国民機だったNECもレノボに売却した。『NEC-PC98機は絶対に無くならない』とDOS/V機と果敢に戦った頃を思い出せば信じられない話だ。そして2017年11月 富士通もレノボに売却した。
SONYのVAIOは、別会社が製造販売しているため、もはやSONY製品とは言えない。
ノートパソコンの生みの親 東芝(DynaBook)も全面撤退している。(同社はメディア報道を否定しているが時間の問題だ)
今や日本のパソコン大手メーカーで名前が残っているのはパナソニックだけだ。
実はパナソニックの松下電器(ナショナル)の創業者 松下幸之助さんは、莫大な研究費用のかかる大型コンピュータの開発には手を出さなかった。大型汎用機時代に日立、富士通、NEC、東芝、三菱製があっても松下製のコンピュータがなかったのだ。私は当初、松下製の汎用機がないことが不思議だった。
その松下電器(パナソニック)だけが、国産の大手パソコンメーカーとして残っているのは何とも皮肉な話だ。
他にエプソン、マウス、ドスパラ等が国産メーカーで頑張っている。面白いことに当社が導入しているパソコンは、こうしたメーカーであったりもする。
これは、パソコンだけ目を向けた話だが、売上高の高いサーバー市場も危ない。既にIBMはサーバー部門さえもレノボに売却している。サーバー市場もいづれ同様な運命をたどる気がしてならない。
made in Japan、世界をリードした日本の電気メーカーは今や過去の話となった。
これも時代の流れとして『良き時代があったなあ~』と懐かしがるしかないのか。実に悔しい…。