今回の全写真は「空」の素材集から。仕事柄沢山の素材集を所持しているが、昨今あまり使うことが少なくなった。このまま眠らすのは勿体ない、コロナ禍で疲れた心に広い空のように。
アースジェットやごきぶりホイホイなどで知られるアース製薬は、創業1892年(明治25年)、実に130年に迫る老舗企業。川端社長は1971年9月生まれ、今年で50歳の大台に乗るが、何と42歳のときに社長に抜擢されている。社長に抜擢された人物は それなりの理由がある。
もともと会社での営業成績はかなり良かったようだ。当時の大塚達也社長(現会長)から「私はガーデニング事業を会社の次の柱にしたい。だが、どうもうまくいっていない。おまえに全てを任せる。社内からも優秀な人材も集める。それでもだめなら事業を畳んでいい」と任命されたとのこと。
ガーデニング事業は参入壁が高く、社内でもいづれ撤退する事業と言われていた。そんな難題な仕事を任されたのだ。
任命されたからにはとにかく一生懸命やるしかない。川端さんはガーデニング事業が不調な理由を調べ、まず最初に除草剤に着手する。除草剤は大きな市場だが、「農薬」として登録することが業界の常識だった。まともに製品を開発して市場投入しても大きな成果は望めない。
除草剤が一般市場に広く売れるためにはどうすれば良いか?
考えに考え、最終的に常識を覆す食品成分生まれの除草剤を開発・販売を決めた。子供やペットがいる家庭では、農薬を使わない除草剤が求められているはずだ・・・の観点からだ。
これが「おうちの草コロリ」だ。現在のアース製薬の製品にも「100%食品でつくった除草剤。すぐに分解されるので菜園・花だんで使えます」や「食品成分生まれのコケ用除草剤。いろいろなコケに効きます」なるキャッチコピーを実際に見ることが出来る。
この企画は社内から「絶対に売れない!」と強い反対があったらしい。成功した製品やサービスが誕生する最初は大抵社内から反対論が出るのが普通だ。理由は簡単、前例がなく開発費の壁が大きく立ち塞ぐからだ。それで会社の屋台骨が揺らいだ企業は沢山ある。失敗は許されない。
結果から言えば、予想を大きく超える売り上げを残した。その後も開発改良を重ね、大きな売り上げを更新し、アース製薬の基幹商品となった。
「絶対に売れない!」や「絶対に出来ない!」の先にあるものは大きな成功が待っている。但し、大きな失敗も十分有り得る。命がけの選択だ。