大型連休のせめての娯楽にとグレース オブ モナコのDVDを観た。
ハリウッド女優、グレース・ケリーがモナコ公妃となり、6年後の国家存亡の危機を彼女が世紀の大芝居(スピーチ)をして乗り切ると言うストーリー。大芝居と言うからには、そのスピーチは嘘と言うことか?
ハリウッド時代の映画撮影シーンからドラマが始まり、スタジオを離れるグレース・ケリーの後姿をそのまま追いかける。そして鏡に映った顔が初めての登場となる。それが上の写真。
グレースの最後のハリウッド映画「上流社会」の撮影なのか?
そのまま、部屋からラジオ放送が流れ、豪華客船に乗ってモナコ大公レーニエへ嫁ぐ白黒映像が流れる。白黒にしたのはリアル感を出すためか? それとも本当の映像か?
映画「上流社会」は1956年と言うから、自分が生まれる前になってしまう。
一番の話題になるところは、グレース・ケリーとそれを演じたニコール・キッドマンが似ているか否かだろう。映画に登場するニコール・キッドマンは当然ながら美しい。2人をインターネットで検索すると沢山の美しい画像を見ることが出来る。
似ていると言えば似ているが、似ていないと言えば似ていない。グレース・ケリーの方が気品があって圧倒的にエレガントに見えるのは私だけか? 残念ながら映画マニアでない自分は、グレースの主演作品は一つも見ていない。
しかし、もはやこのレベルになると美貌の差は関係ない。よって、生のグレースを知らない自分にとって、グレース・ケリーとはこのような美人だったと理解しておけば十分だ。
このシーンは、フィルムから流れる白黒映像の自分の世紀のウエディングをぼんやりと見ているシーンだ。それを見ている顔は、結婚の喜びでなく、何故 私はモナコにいるの?を自問自答する姿だ。
ちょうどハリウッドの映画出演依頼を受け、女優グレース・ケリーを選ぶか迷っている時だ。勝手な推測だが、実際も出演依頼はあったと思う。
映画全体を見て思うことは、金と名誉を手に入れても、人は幸せになるとは限らないことだ。
彼女は、もっとハリウッド映画で多くの作品を残したかっただろう。完全燃焼出来ない彼女の不満が見える。これはニコール・キッドマンの演技が素晴らしいからだ。
人生を2つ選べるならどんなに良いことだろう。これは究極の贅沢だ。
この映画を十分理解するには、まずグレース・ケリーの過去の経歴を十分知っておくこと。モナコがフランスとの当時の経済情勢を事前に理解しておく必要がある。そうでないとストーリーが楽しめない。
自分も1回目は殆ど意味不明だった。その後、インターネットでグレース・ケリーのこと、当時のモナコの情勢を理解して再度観た。すると、面白いほどストーリーが理解できる。
旦那であるレーニエ大公が終始さえない演出となっている。主人公のグレースばかりが格好良く演じられている。これではモナコ王室が映画に対して抗議するのは十分理解できる。
いよいよこの映画最大の見せ場となる舞踏会場に入る。
舞踏会内の様子。ド・ゴール大統領はじめ各国の要人が出席する。
最大の見せ場、グレースのスピーチ内容。映画では一世一代の大芝居と称する箇所だ。
どんな内容かって? それを書くと、推理ドラマの犯人を書くようなもんだ。
拍手喝采を受け、このスピーチで国難を乗り切ったとされる。これはフィクションかな?
椅子に座って、旦那レーニエから「アイ・ラブ・ユー」と囁かれる。そのときの彼女の表情が彼女の真意だ。
国難を乗りきり離婚の危機も乗りきる。とても哀愁を感じさせるシーンだ。
そして、最後の最後のラストシーンは、冒頭のハリウッドの撮影スタジオで椅子に座るグレースが映し出されるのだ。
映像がフェイドアウトした字幕で「1963年5月 フランスは徴税を求める封鎖を解除した」、「グレース・ケリーは生涯 女優復帰しなかった」が映し出されて終わる。
映画の宣伝になるが、とても良くできている。