大型連休はこれまで溜まりに溜まったやり残した作業の消化対応の日々。
しかし、前から見たかった映画 セッション 、前回に続いて映画感想となるが、私のせめての連休の息抜きだ。(ちょっと寂しいかな)
音楽演奏をやっている人、特に打楽器をやっている人は非常に面白いはずだ。勿論、楽器経験が全くなくても十分楽しめる内容になっている。
ストーリーも単純明快。別の人物の余計なストーリーが一切ない。主人公のアンドリュー・ニーマンの気持ちだけ追っていれば良い。
アンドリュー・ニーマンは全米の名門音楽院に通い、偉大なドラム演奏家を目指す。そこに鬼教官のフレッチャーが登場し、狂気的な指導を行うのだ。
おお!恐怖の壁ドンだ。
罵声と執拗な嫌味と暴力で攻め寄ってくる。別の意味でホラー映画のようだ。おお怖い…。
主人公は、超絶テクニックのジャズドラマー Buddy Rich に憧れている。ラストシーンのドラム演奏はとにかく圧巻だ。細かく刻んだリズム連打を正確に叩き続ける姿に驚嘆する。
ニーマンも途中からフレッチャーの狂気の指導に反感を感じながらも、一流になるためとスティックを持つ手を血に染めながらも練習に身を投じる。絆創膏が血に染まる痛々しいシーンだ。
音楽で成功するためには、他の全てを捨てる覚悟が必要だと、このあと付き合いだした彼女に別れ話を持ち出す。
練習に次ぐ練習、しまいには血に染まった手を氷水で冷す。氷水に手を浸し、真っ赤に広がっていくシーンは不気味だ。ニーマンが狂っていく….。
しかし、一流の音楽家なら多かれ少なかれこの位の努力をしていると思う。才能が全然なかった自分でさえ、若い頃は朝までピアノを弾いていたことがあった。まあ、血染めになるまで弾くことは絶対なかったけどね。(笑)
実は、上のシーンはこの映画の中で一番好きな場面だ。あの鬼教官がライブハウスでピアノを弾いている。それも甘美なスロージャズ。このサントラ盤があったら売れるかもしれないな。
いよいよラストシーンに突入する楽団の様子。
ドラムの上手い下手は分からない自分だが、この演奏は凄いと思った。まあ、映画で上手くつなぎ合わせたんだろうけどね。実際、これだけ叩けたら一流の演奏家からオファーがかかるはずだ。
もう何も語れないクライマックスシーン。見事な演出とストーリーだ。
圧巻のシーンで終わる。ドラムを叩けない人でも十分楽しめる内容だ。
音楽の世界で生きていくのは、音楽=音が苦であり、「苦」を通り越して、苦悩の連続のはずだ。
この映画の教官は異常すぎるが、実際の一流の楽団の練習は間違いなくこれと同じ位、張りつめた緊張感があるはずだ。
決して映画の狂気の指導法は肯定出来ないが、その意味では一流になるためには、これに近い練習を覚悟しなければいけないと思う。音楽の世界で生きていくのは超大変だ。
ちょっとこれまでの映画と印象が大きく異なる映画だったが、お奨めだ。