1987年~
何回も記しているが、DOS/Vが上陸してくるまでの日本は、NECが我が世の春を謳歌していた頃だ。出回るソフトはNEC PC98前提で作られていたと言っても過言じゃなかった。
1987年4月 エプソンがNEC98互換機に参入してきた。エプソンPC286シリーズだ。ちょうどニフティサーブがサービス開始をした頃だ。
市場はi286主流のこの頃、同年5月に日本IBM PS/55を発売している。i386マシンだ。日本IBM PS/55はどちらかと言うと企業向けPCで、ビジネス用として会社内の机上に適度に見かけだす。

当時、仕事で活用したエプソン PC-386NOTE AE
エプソンシリーズは、PC286、PC386とインテルCPUの名称がつけられ、機種名でCPUが分かるのでとても分かり易い利点があった。
i80286搭載のPC286シリーズ 、i80386搭載のPC386シリーズ、i80486搭載のPC486シリーズ。台数は前シリーズより多くはないもののPentium搭載のPC586シリーズもあったようだ。同じ性能で安いなら互換機の方が売れるのは当然。結果的に全体のシェア20%に食い込みだした。
尚、当初NECは当社の所有権を侵害しているとしてEPSONに訴訟問題を起こしている。当時はかなり有名な話だった。
NECは使用するソフトウェアにEPSON製のPCでは動かないようにするプロテクト(エプソンチェック)をかけだした。即座にEPSONは、そのプロテクトを解除するソフトを無償提供した。エプソン側も「プロテクト解除は違法ではありません。安心してご使用ください」なんて感じの文章で解除フロッピーディスクを配布していた。

セイコーエプソン vs. NEC PC-98互換機騒動
言い方は失礼だが、私はEPSONユーザーだったので、そのやり取りを楽しく拝見させて頂いていた。今となって言えるが、数年後に襲来するDOS/Vに いがみ合っている場合じゃなかったんだけどね。
いつかは知らないが EPSONはNECに和解金を支払い、互換機メーカーとして進むことになったようだ。NECはEPSONに対する対抗措置はうやむやになっていき、気づいた頃にはソフトウェアインストレーションプログラム(SIP)は見かけなくなった。
しかし、DOS/V機の流れは止まらない。さっさとエプソンはPC98互換機から撤退し、DOS/V互換機、プリンターやデジカメ等に注力することになる。この切り替わりは見事だ。
その後もエプソン派の私は、Epson Direct Shopで何台ものPCを購入している良き顧客なのだ。
【画像/参考資料】
ソフトウェアインストレーションプログラム(SIP)
PC-386NOTE AE
98互換機と黒船来襲――エプソンとNECの奇妙な関係