自分コンピュータ史

036 ワークステーションの勢力争い

UNIXワークステーションが巷に登場し、騒ぎ出した頃のマシンの殆どはRISCプロセサ搭載を謳い文句にしていた。

RISCプロセサって言うのは、複雑な命令を単純化し命令を縮小し高速化を図る技術らしい。

CPUにはCISC(シスク:Complex Instruction Set Computer)とRISC(リスク:Reduce Instruction Set Computer)の2種類があり、RISCプロセサが優秀であるかのように当時のワークステーションはしきりにRISCのプロセッサ搭載を強調していた。勿論、当時はそうなの?と思う程度でしかなかったが。

メーカーがこぞってRISCなる定義で市場に出荷したため、従来のプロセッサと分類するためCISCなる言葉を定義した感がある。

90年代頃のワークステーションは各社RISCを強調したが、現在はおまけ程度に表現することはあっても、強調することは殆どない。プロセッサが高性能となりあえてここを強調する意味がなくなったからだ。誰もRISCやCISCを意識して製品を購入することなんてない。

無理やり分類するならば、現在のPC・サーバー市場の殆どがCISCで、携帯モバイル・組み込み系・ハイエンドUNIXサーバー市場はRISCが多い気がする(あくまでも個人的意見です)。IntelがCISCであるように、導入するCPUで決まる。家電や電子機器の多くはARMでありRISCだ。

RISCプロセサ別で市場勢力図が見えて来る…

SPARC

サンマイクロシステムズ、富士通、東芝、富士ゼロックス、松下電器産業、日本ユニシス、沖電気工業、英ICL、米ソルボーンコンピュータ

MIPS

米シリコングラフイックス、NEC、SONY、米タンデムコンピューターズ、米ピラミッドテクノロジーズ、米デジタル イクイップメント、住友電気工業、伊オリベッティ

POWER

IBM、アップル、仏ブル、米ハリス、仏トムソンCSF

ALPHA

米クレイリサーチ、クボタ、米デジタル イクイップメント

88000

オムロン、日本ユニシス、オムロンデータゼネラル

PA-RISC

米ヒューレットパッカード、三菱電機、日立製作所、米ストラタスコンピュータ、沖電気工業

今は亡きメーカーが多数存在する。例えばブル、ピラミッド、オリベッティなど当時を知っている人は懐かしい気持ちになるはずだ。

性能はどんどん向上した。
科学技術計算向けの高速な並列マシンが登場すると、大型汎用機でFORTRUN言語を使用する必要がなくなった。FORTRANが消えていくのは時間の問題だった。

性能向上とコストダウンが進み、ローエンドなUNIX機(70~80万円程度)と、ハイエンドなパソコン(100万円程度)とが競合しはじめた。これ、大昔の話のようだが、たかだか1990年代の話なんだ。(えっ!十分昔だって?)


(注)
RISCプロセサ勢力メーカーは、日経コンピュータ 1993年当時の資料から引用。社名は当時のまま、当時の計画段階も記載。異なるRISCプロセッサを両方採用するメーカーあり。NEC、IBMはストラタス製品のOEM販売もあり。

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