ジャズバイオリニストの寺井尚子さんは20年近く前のデビューした頃から知っている。私の好きなフュージョン系アーティストと彼女が共演する関係から存在を知っているのだ。1967年5月生まれの51歳、とてもその年齢に見えない魅力的な演奏家だ。
とは言え、失礼ながらレコードを買うまでには至らなかったが、名曲スペインの入ったアルバムあたりからしっかり興味は持っていた。
寺井尚子さんは幼少の頃からクラシックバイオリニストを目指していたが、たまたま14~15歳の多感な頃に聴いたジャズに魅せられたのがジャズ演奏者になるきっかけだったと聞いている。
その魅せられた音楽とは、ビルエバンスの「ワルツ・フォー・デビイ(Waltz for Debby)」だったとか。
ビルエバンスはジャズピアニストの最高峰に位置するジャズの巨人だ。ワルツ・フォー・デビイはビルエバンスの名盤中の名盤だ。いきなりマイ・フーリッシュ・ハート(My Foolish Heart)が始まるピアノとベースのゆったりとした絡みは官能美さえ感じる。グラスが似合う渋い渋い大人のジャズだ。
個人的にベスト3をつけるなら、ポートレート イン ジャズ(Portrait in Jazz)、くそ真面目そうなアルバムは初期の頃のビルエバンスの姿そのものだ。次いでワルツ・フォー・デビイ、3番目がアローン(Alone)となるかな。
寺井尚子さんはこのワルツ・フォー・デビイのジャケットが素敵だったので、レコードの針を置いたと言っていたが、このアルバムによってジャズの世界に魅せられた。目を閉じると、自分がピアノトリオと一緒になってバイオリンをインタープレイする姿が浮かび上がったらしい。
もともとクラシックバイオリニストを目指していたのだから実力は十分にある。もし腱鞘炎にならずにジャズアルバムに針を降ろす時間がなかったら、彼女はジャズの世界に入っていなかったかもしれない。
しかし、やりたい音楽が見つかった寺井尚子さんは、ジャズバイオリニストの世界にどっぷり浸かることになる。もう寝食忘れるくらいどっぷり浸かったことだろう。きっかけなんてそんなもんだ。あとは思いを貫き通せるか否かだけだ。ジャズのことを少なからず知っている私から言わせて貰うが、演奏は超一流だ。
みんな最初は同じだ。成りたい自分、自分の姿を強くイメージする。そうすれば自分の目標が見えてくる。1年後、3年後、5年後までに何をすべきか分かる。今何をしなければいけないかが分かる。それに向かって突き進めば良いのだ。要した時間がその人のスキルになる。才能があるかないかを問うのはそれからだ。
まず、自分は何に成りたいか? 成りたい自分をイメージする、強くイメージする、強く強くイメージする。35歳まで一流のエンジニアになることだって立派な目標だ。これは才能を云々言う必要のない叶えられる目標だ。目標が叶えられたら更なる目標を設定すればよい。
バイオリニストの延長で、少し前に知った川井郁子さんのことも触れたい。
芸大卒のクラシックバイオリニスト。1968年1月生まれの51歳、年齢を感じさせないとても魅力的な演奏家だ。
テレビ東京「100年の音楽」で金曜日に数分間だけお目にかかれる。今週はどんな選曲かなと毎週欠かさず楽しく拝見している。美貌と実力を兼ね備えたエリートだ。私はクラシックのことは皆目分からないが、「100年の音楽」はジャズやロックなどジャンルを問わない選曲が魅力だ。
この番組、2011年からずっと続いているらしい。毎週衣装を変えてドレスアップして登場、演奏と外見ともに非常に輝いている。クラシックのことは分からないが、もはや凡人では成し遂げられない正真正銘の超一流の演奏家だと思う。
ちなみにバイオリニストと言えば、葉加瀬太郎さんも忘れてはいけない。川井郁子さんと同じ1968年の1月生まれの51歳。1昨年の渋谷のオーチャードホールのコンサートで、とある方の関係から楽屋裏まで行かせて頂いた。詳細は内緒。
(注)アーティストの写真はレコードとCDジャケットから使用、100年の音楽はテレビ番組の切り取り画像です。