1989年~
今や、表計算と言えばエクセルが事実上の標準ソフトだが、MS-DOSのこの時代に表計算ソフトは誰もが使っていた訳じゃなかった。実は私もそうだった。
何故かって?今でこそ縦横無尽 豊富な機能を有している表計算だから集計が必要不可欠な職場では使用されたものの、まだそこまでパソコンは広く浸透していなかったからだ。
Macintosh向け Excel 1.5
1989年4月 日本語版 Microsoft Excel 2.1が発売された。それまで表計算と言えば Microsoft Multiplan と Lotus 1-2-3 だった。ボーランド社のQuattro Pro (クワトロ・プロ)もあったが、圧倒的にLotus 1-2-3 が人気が高かった。
マイクロソフトは紆余曲折を経て 1985年 Excel 1.0 をマックに登場させた。
Microsoft Excel 3.0
2年後の1987年 Windows版のExcel 2.0が発売された。日本語版Excel 2.1が発売された同じ1989年4月に i80486が発表されている。
日本はDOSのNEC PC98が国内市場を独占し、表計算は Lotus 1-2-3、ワープロなら 一太郎の時代、米国のソフト市場はWindowsに照準を合わせていた。
1990年代前半まで、私の肌感覚では Excel より Lotus 1-2-3 のほうが人気は高かった。Lotus SuperOffice なるオフィスソフトも好調で、MicrosoftもOffice製品は出してはいたが、Lotus社の方が製品は充実し暫く Lotus製品の健在さを感じた。
この頃のマイクロソフト製品は粗削りだった。
しかし、どんどん洗練されていった。例えば、初期の漢字変換MS-IMEはとても残念な変換率だったが どんどん改良されていった。現在のMS-IMEは、OSとの一体感さえ感じられ、他の日本語変換ソフトに代える気持ちがそもそも起きない。
Microsoftは頭が良かった。OSを握る企業が最終的に独占することを知っていた。Windows95が出始めた頃から、Windows95とMS-Officeのプレインストール戦略により、あれよあれよとMicrosoftのオフィス製品はシェアを伸ばしていった。
Lotus&Justsystem/HARMONY 1.1
ユーザーがPC購入時に、(1) MS-Office製品(Word、Excel) もしくは、(2) 一太郎+Lotus 1-2-3 を選べる。
OSと同じMicrosoft製である理由は大きい、(1)を選択する人の方が圧倒的に多かった。「こりゃマズイ!」とロータス社は思っただろう。ロータス社は一時期、企業風土が全然異なるジャストシステムと同盟を組んで「ハーモーニー」なる実に中途半端な製品を出す。当時は、業界ニュースになれど鳴かず飛ばずだった。
機能だけ見れば、Microsoft製品より当時の一太郎やLotus 1-2-3は優れていたはずだ。特に一太郎は日本人が研究開発したソフトだ、MS-Wordより高く評価されていた。日本の官公庁も一太郎を優遇した。しかし性能が高いのと売れるのは別だ。
いつしか Excel(MS-Office) が事実上のデファクトスタンダードとなり確固たる地位を確立したのだ。