1991年~1993年
企業がどんどんWindowsに移行していったあの頃のことは今でもしっかり記憶している。しかし、日本企業が国内で積極的にWindowsを導入し始めたのはWindows3.0でなく、3.1からだ。
Windows3.0は1990年5月に米国で発売され、全米だけでなく全欧にも華々しく発売されている。当時、聞くところによると、発表に際してアルテア8800やApple Lisa、Macintoshの歴史を加え凝りに凝ったものだったと聞いている。
Windows3.0は、これまでの286系と386系のどちらも意識し、インストール時にマシンのCPUやメモリに合わせてセットアップしてくれた。
翌年の1991年4月に日本でもWindows3.0が発売された。3.0のユーザーインターフェイスはMacintoshに及ばないものの使い勝手は良くなったとなかなかの評価だった。
IBM DOS Version J5.00/V
但し、ビジネスとして使えるか否かは別だ。NEC PC98版Windows3.0もリリースされたが、ビジネス導入までに至らず、自分がWindows3.0を仕事に使用することは全くなかった。殆どの国内企業はWindows3.0を静観した。多くの企業や個人ユーザーは既に充実したDOSアプリケーションを使い続けることを選んだのだ。
天下分け目のOS戦争、国内王者NECはPCの生き残りに必死だった。自社の技術者をマイクロソフト社に送り込んでPC98でも動作するNEC版に莫大な資金を投入した。NECのWindows提供は随分の期間頑張った。当時、NEC PC98のWindows98が登場すれば98の98だな~と思っていたが、それは起こらなかった。NECは1997年に独自路線を断念している。
Windows3.0もWindows3.1もMS-DOSがあって動作する。まずDOSをインストールし、DOSが起動した状態でWindowsをインストールする。
インストール完了後、PCの電源をオンにするとMS-DOSが立ち上がりDOSプロンプト画面が表示される。そのDOSプロンプトに win なる文字を入力すると、CドライブのWindowsディレクトリのwin.exe が実行されWindowsが立ち上がる。
Windows3.0
Windowsをセットアップする際にDOSのCONFIG.SYS、AUTOEXEC.BATファイルをWindows用に自動的に書き換えてくれる。
自分は自動に書き換わるのが嫌で、Windowsセットアップ前にあらかじめCONFIG.SYS、AUTOEXEC.BATファイルを別に保存しておいて、セットアップ後に書き換わったCONFIG.SYS、AUTOEXEC.BATファイルを比較(主にWindowsのパス等が書き加えられていた記憶がある)しながら自分環境用に書き直した。
今のWindowsは ブラックボックス化してこんな作業する気さえ起きないけど、当時は実にシンプルでカスタマイズ満載だった。
CONFIG.SYSをしっかり設定し、AUTOEXEC.BATファイルの一番最後に win.exe という呪文を書き込んでおくと、PCの電源をオンにするとDOSが立ち上がった後に自動的にWindowsが立ち上がる。勿論、この呪文を書かなければ、DOSプロンプト画面が表示されたままとなる。Windowsを終了すればDOSプロンプト画面に戻り、DOSの従来のアプリケーションソフトが使用できた。つまりDOSアプリもWindowsアプリも使用出来る訳だ。
企業がWindowsを積極的に導入するのは1993年に発売されたWindows 3.1からだ。合わせてメーカー各社からDOS/V機が発売されている。
Windows3.1
この激動の中、ジョブズはアップルに居なかった。
1985年05月 全ての実権剥奪され1985年09月に辞表を出しアップルを去っている。アップルに戻ってくるのが1996年12月。まさに10年の空白期間があった。NeXT社での奮闘はあるが、ビジネス的には市場に大きな影響を与えられなかった。
ここにWindowsはビジネス界で事実上の実権を握った。既にアップルはライバルではなくなっていた。
仮にこの期間ジョブズがアップルに君臨していたとしても、IBMとマイクロソフトの関係を考えるとWindowsが実験を握っていたと思う。