自分とコンピュータ史

124 PC DOSを開発したマイクロソフトのその後

IBM PC DOS誕生ストーリー(#3/3)

1981年8月12日 IBMは初代 IBM PC(IBM 5150)を出した。IBMのPCは瞬く間に世界標準となる。当時のIBMの権威、知名度、信頼性からすれば必然かもしれない。
052 8ビットPC業界にIBMが登場!
053 IBM-PC 5150の登場で変わる市場


初代 IBM PC(IBM 5150)

実は紆余曲折があって、デジタルリサーチ社のキルドール氏も16bit用 CP/Mを作ることでIBMと契約を結んでいる。これには西さんも脅威だったと自著「反省記」書いている。
しかし、脇先生の「ビル・ゲイツⅠ」 脇 英世 著 195頁には、「売り出された価格は MS-DOS 40ドル、CP/M-86は240ドルだった」こととCP/M-86の販売は半年遅れている。
西さん著書「反省記」に別の解釈も記されてあるが、この半年で一気にマイクロソフトは攻めに出てシェアを獲得している。


PC DOS と MS-DOS/クリックで拡大

結果だけ言えばMS-DOSとCP/M-86の勝負はマイクロソフトの圧勝だった。CP/M-86は秋葉原のレーザー5などPC専門店に置かれていたが、広く売り出されたのか記憶にない。

これによりマイクロソフトとIBMは親密な関係になるかと思いきや、IBMはマイクロソフトをただのベンダーの1社としか見ていなかったようだ。初代IBM PC発表会にはマイクロソフトは招待さえされなかったらしい。


MS-DOS, first packaging (Ver. 3.2, 1986)

マイクロソフトはIBMのDOS開発に大成功を収め、バージョンアップを進める。方やIBMの次世代OSであるOS/2もIBMとマイクロソフトは共同開発を行うことになる。更にマイクロソフトは単独でWindowsの開発も進める。

IBM PC/ATが登場することによって、PC/AT互換機が各社PCメーカーから登場し、IBM PC-DOSは売れ、MS-DOSも売れ、マイクロソフトは資金が潤うこととなった。

関連本を複数読んでいると、あちこちの点がひょんなことで繋がることがとても面白い。
例えば、IBM PC DOSの元となるQDOSを作ったティム・パターソンは、1981年に何とマイクロソフトに入社している。翌年には退職しているが、西和彦さんが日本で推し進めたMSXパソコンのMSX-DOSにも関係しているとか。う~ん本当かな🙄。
055 MSXパソコンの登場


CP/M-86 for the IBM

バージョンアップが進むにつれ、マイクロソフトはIBMとの意見はぶつかり合うようになっていく。
しがらみの無いマイクロソフトは32bit CPU向けに開発すべきと提案するも、IBMは多数の自社PCを提供しているユーザーの関係もあり、おいそれと32bitに進むことが出来なかった。

そうこうしているうちにIBMは、世界最初のMS-DOS登載の32bitマシンをコンパックコンピュータに奪われてしまう。実はコンパックの32bitマシンはマイクロソフトも支援していた。
104 コンパック・コンピュータ

マイクロソフトはOS/2の開発に際しても、最初は「協力させて下さい」的なIBMにお願いする低姿勢な態度だったが、徐々にマイクロソフトの発言力は大きくなっていく。最終的にはIBMと決別するのだが、これは別のおはなしで。

【画像】
MS-DOS, first packaging (Ver. 3.2, 1986)
CP/M-86 for the IBM画像

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