今さらながら「闘うプログラマー(上・下)」を何度も師走のさなかに暇さえあれば読んでいる。
1994年12月が初版だから30年近く前の本だが、発売当時はかなり話題になった。その後の2009年に上下巻が1冊になった新装版も発売されているが、初版の「闘うプログラマー」の上・下2冊をカバンに入れて、移動中でも必要な箇所だけを何度も繰り返し読んでいる。
と言うのは、もう一つアップしている オープンメディアITブログ がようやくWindowsXPあたりの年代に迫ってきたからなんだな。
NTは現在のWindowsOSの原点と言える。その開発ストーリーを再認識しているって訳。
WindowsXPはWindowsNT5.0のこと。それ以降リリースされるVistaもWindows7や10も全てNTの子孫だ。初期のWindowsはDOSをベースにしているから初期のWindowsとWindowsXP以降と中身が異なる。
NTは次世代OSに向けての開発であり、Windowsの次を目標とした訳でなかった。どちらかと言えばIBMと共同開発していたOS/2が次世代OS開発だったのかもしれない。
しかし、IBMとマイクロソフトは喧嘩して決別しているんだ。
デビット・カトラーが主人公、業界では一時代を築いた超有名なエンジニア。一緒に開発するメンバー達もDECから来たスーパーエンジニアや半端ない人ばかりだ。
1) MS(マイクロソフト)は、IBMのPC向けOSにDOSを提供し、成功を収める
2) IBMはPC DOSを、MSはMS-DOSとして販売。どちらもバージョンアップを繰り返す
3) MSはWindowsの開発に着手し、Windows1.0を市場にリリースする
4) 同じ頃、IBMはOS/2なる次世代OS開発に着手し始める
5) MSはIBMとOS/2を共同開発する
マイクロソフトはWindowsをリリースしながらIBMのOS/2を共同開発し、さらに次世代OSを密かに開発する。それがNT(New Technology)ってこと。
その頃はマイクロソフトさえ、次世代OSがOS/2なのか、まだ見ぬ開発途中のNTになるのか分からなかった。
Microsoft OS/2 1.1
マイクロソフトは表向きIBMと共同開発している。
しかし、IBMはマイクロソフトの裏切り行為を激怒した。ちょうどOS/2 Warp3.0を開発を始める頃かな?マイクロソフトはIBMから引き揚げ、OS/2WarpはIBMだけの開発となる。
Winsows3.1がリリースされ、シェアを確保して行く。このWinsows3.1が登場する数年前から開発を進めていたのが次世代OSなるNTなんだ。
この頃は、OS/2に転ぶか Windowsに転ぶか分からなかったけど、Windows3.1の成功と次のWindows95でマイクロソフトが圧倒的に優位になった。
テレビも雑誌でも宣伝しまくった
IBMはWindowsを敵対し、OS/2Warpを莫大な資金を投じて宣伝した、山口智子のテレビCMも沢山流れた。
しかし、シェア奪還は出来なかった。この頃、私はIBM系のシステム開発をしていた関係上、OS/2Warpの操作経験はあるがWindowsの方が垢ぬけていた。「駄目だこりゃ、OS/2は勝てないな」と思ったことは何度もある。
昨今はイーロンマスクの異常な仕事ぶりは有名だけど、デビット・カトラーも負けず劣らずの異常な仕事ぶりだ。
IBM OS/2 2.0 Workplace Shell
日本が弱くなったと言われるけど、これだけ執念を持って仕事をすれば人生は報われるってことを証明している。
但し、殆どの人は真似が出来ない。彼らの執念は壮絶なほど半端ないからだ。
現在のAIの進化は面白いけど、こうした過去の開発秘話もかなり面白い。
未来を切り開いた人はやはり超人だね。今さらだけど過去の歴史を紐解くと延長線上の未来が何となく見えてくる。
AIだって30年前から唱えられていた。ハードウェアとインターネットが発達し、ディープラーニングにより膨大な情報が蓄積されたおかげなんだ。だから頭の良い人は既にAIが到来する未来を具体的に描けていたはずだ。だから今のAIブームは彼らにとって必然的と思っているだろう。
ちょっと技術進化が異常と思うことも多々あるけどね。