自分が知る巨大企業IBM
私がIBM大型コンピュータを触ったのは、1980年代前半 大型汎用機全盛時代の金融・証券・損保・信販系のシステム開発の頃になる。IBMは富士通・日立の大型汎用機メーカーのその上に君臨する絶対王者だった。
主に科学技術計算はFORTRAN、事務計算はCOBOLだ。FORTRANはIBMが開発した世界最初の言語。当時の科学技術計算は建築や橋梁の計算に必要だった。空調の効くマシンルームで磁気テープがクルクル回っていた頃だ。古ッ!😁
アメリカ政府の事務処理言語の殆ど全てはCOBOL言語だった。当然、日本の事務処理言語も殆どはCOBOLだ。そんな訳で私が最初に経験した開発言語もCOBOLであり、40年以上を経過した今も尚、金融・損保案件はCOBOLが活躍しているとんでもない言語なのだ。

IBM製品群/クリックで拡大
1995年頃を思い出しながら自分で分類してみた。綺麗に4つに分かれる。オフコンは日本だけの呼称で米国ではミッドレンジ群の上位、ミニコンに位置する感じかな。現在IBMはビジネスアプリケーションサーバーと呼んでいるようだ。
どっぷりこの業界に在籍しているお陰もあり、表1段目のメインフレームは長い開発経験がある。表2段目のAS/400は少しだけ携わった。RPGと称するIBM独特言語が提供された。私が新入社員の頃からCOBOLもRPGも時代を超え今もなお需要はある。案件情報でも頻繁に目にする。
【関連】021 オフコンとRPG
表3段目のミッドレンジ SYSTEM/88の経験は無いが、私は本家ストラタス社のノンストップ・コンピュータの開発経験がある。恐らく似たり寄ったりのUNIX風なOSだろう。表4段目のPCは当然十分経験している。
眺めてみるとどれも大なり小なり使用経験がある…う~ん(笑)。
IBM、PC分野へ進出する
IBMのPCの展開を語る前にCPUの話をしておかないと理解が深められない。
まず、1971年 日本企業のビジコン社がインテルに依頼した i4004 4bit CPUから始まる。
【042 インテル4004と電卓のビジコン社】
まさに電卓から始まるのだ。1974年に i8080 8bit CPU が登場し、マイコンレベルとなる。マイコンはたいして役に立たなかったが、i8080 搭載のマイコンに未来を感じた若き英雄たちはいた。
【043 i8080とZ80 マイコンブーム】
【044 ビル ゲイツとスティーブ ジョブス】
8bitのi8080の次が16bitのi8086になる。このi8086の廉価版がi8088だ。IBMが最初にPCを登場させたのもこのi8088だ。
【053 IBM-PC 5150の登場で変わる市場】
天下のIBMがi8088を採用すると瞬く間にIBM PCは世界標準になった。やはりIBMはPC分野でも凄かったのだ。そんな訳でPCメーカーは廉価版ではない高速なi8086搭載のPCを発表する。
ここで表にしてみた。

IBM PC と CPU の関係/クリックで拡大
IBM初代PCの登場は いきなり16bitで登場し、PC/XT、PC/ATと性能を向上させていくが、頑なに16bitマシンを守ってきた。マイクロソフトとのDOS共同開発時は、しがらみの無いマイクロソフトとIBMは大きく意見が食い違った。
IBMはメインフレーム、オフコンの重要なユーザーのPC互換を守るため簡単に32bitに移行できなかったのだ。
それが1987年に大転換する。80386搭載の32bitマシン IBM PS/2 を投入するのだ。OS/2も発表するのもこの頃だ。
【072 米IBMのPC と 日本IBMのPC】
これがどうしたかって?
まだこの頃のメインフレームは32bitが活躍する時代だからだ。おもちゃのマイコンが高性能PCへと どんどん進化し、神の如く君臨していたメインフレームに急接近していくのだ。こちらの方が圧倒的に面白い!