g_物流システム徒然記

041 注文したくても出来ない (コンビニ09)

流通システム/物流システム徒然記

いよいよ これからストーリーは、在庫管理、多頻度小口配送、更にメーカーに於ける在庫圧縮、サプライチェーンマネジメント・・・全てが関係してきます。

岩国は尋ねた。「 何故、品切れの在庫を追加注文しないのですか?」

疲れきった店主の山本は言った。
「 追加注文したくても出来ないんです・・・」
「 洗剤は最低1ダース以上、ジュースは5ダース以上じゃなければ、問屋は受け付けてくれない。売れ足が遅い商品だと、これじゃ多すぎる。
品数を揃えようとすれば、どうしても まとめて注文しなければいけない。
そうすると在庫は山のようになる。うちは、そんな在庫を置く場所がない 」

今では考えられない商品群
今では考えられない商品群

収まりきらない在庫の山
収まりきらなくなった在庫の山NHK プロジェクトX 「日米逆転! コンビニを作った素人たち」より

 
いつしか倉庫にも収まりきらなくなった在庫商品は、店の2階の住居部分まで侵食していた。
おまけに多くの在庫を抱えると、その現在庫を把握管理しているだけでも多くの時間と労力が必要だった。
当時はパソコンなど存在しない。在庫管理のパッケージソフトなんて存在しなかった。

売れ残りを考えると1ダース単位のような商品は、注文したくても注文できない。
商品によっては有効期限も常に配慮する必要がある。
食品など売れ残り商品は廃棄するしかない。
廃棄商品は店側負担になるため廃棄を恐れると多めの注文は出来なかった。

全てが悪循環だった。

素人考えでは、まとまった単位でしか注文を受け付けてくれないのなら、小口で受け付けてくれれば話は簡単に解決する。
しかし、当時の卸業界の常識では、小口配送など到底受入られないことだった。

勿論、鈴木や清水は問屋に飛び込んで強く交渉した。
しかし、問屋は 「 そんな面倒なことは出来るはずがないじゃないか。小口配送など絶対受け入れられない 」ことごとく断られた。

スーパーであれば何十ダース、場合によっては何百ダースと注文がかかる。つまり何百何千個単位で注文が入る。

まだ世間で認知されていない一介のヨークセブンが、「 2~3個単位での注文を受け付けて下さい 」なんてお願いしても、相手にされるはずがなかった。
当時の業界常識からしても、問屋の言い分は良く理解できる。

ヨークセブンのプロジェクトメンバーと山本商店は窮地に立った。
この難問をクリア出来ない限りコンビニの成功は有り得ないのだ。

ピックアップ記事

  1. 060 銀座ギャラリーでの絵画展
  2. 048 産業労使秋祭り
  3. 005 レストランを存続させるには
  4. 001 アルバイトから正社員に
  5. 026 ジオパーク in 幕張メッセ

関連記事

  1. g_物流システム徒然記

    017 EDIの標準って何だ?

    物流システム徒然記繰り返し述べますが、EDI (Electro…

  2. g_物流システム徒然記

    108 入出荷工程もバーコードを活用せよ

    Yさんから長文のお礼のメールを頂きました。一部だけ抜粋「 …

  3. g_物流システム徒然記

    015 企業間が情報連携をする方法

    物流システム徒然記前回は、コンピュータによる情報交換はEDIを…

  4. g_物流システム徒然記

    090 ピッキングリスト

    昨日小さな会社を訪問したのですが、遊んでいる社員が何人もいるとか。…

  5. g_物流システム徒然記

    013 電話とFAXだけで仕事は進まない!

    物流システム徒然記社内の業務の流れを徹底的に分析し、自社の業務…

  6. g_物流システム徒然記

    023 まずは、モノの流れを理解する

    物流システム徒然記EDIの堅めな話が続きましたが、話を第1回目…

徒然ITブログ

徒然ITブログ(業界特化編)

特記事項

私的おすすめ記事

  1. 2018.01.18

    032 営業の神様

ちょっとした記事

  1. 2017.09.10

    029 利根川322

ピックアップ

  1. あえて逆の行動が大正解!
  2. 005 レストランを存続させるには
  3. 003 顧客を惹きつける
  4. 001 アルバイトから正社員に
  5. 026 ジオパーク in 幕張メッセ
  6. 060 銀座ギャラリーでの絵画展
  7. 055 寅さん像、さくら像 除幕式
  8. 048 産業労使秋祭り
  9. 046 こち亀 40年間 掲載終了
  10. 045 経営者倶楽部 JAZZ演奏
PAGE TOP