こんどは、かなり前の話になるが、これも忘れもしない事件だった。
(その1に戻る)
カバンがない!
古い話だが今から30年近く前のことだ。
自宅に帰るため新宿から中央線に乗った。お茶の水駅でホーム反対の総武線電車に乗り換えるため、中央線の電車から降りる。
ふと気づくと、網棚にカバンを置いたままだった。読んでいた週刊雑誌をしっかり手にしたまま降りたのだ。振り返ったとき、既に電車は発車したばかりだった。「なんてこった!カバンを取るの忘れた!」今でもしっかり覚えている、この日は体調が良くなかったんだ。
体調不良ではあったがそんなこと言っていられない。血相を変えてホームの駅員に伝える。駅員は「あの電車は、東京駅で折り返してこの駅に戻ってきますよ」と。
不安一杯でホームを変えて、戻ってくるのを待った。
しかし、どの車両で降りたか正確に分からない。2両目か3両目だったかな?程度だ。
電車が折り返して戻ってきた。
戻ってきた電車は満員だった。曖昧な車両だったが、開いたドアに近づき網棚を覗く。「ないっ!」。直ぐに次のドアに移動して同じ行動をする。「ないっ!」。また同じ行動をする。3回目に自分の黒いカバンが網棚に置いてあるのが見えた。「あれだっ!」、直ぐに満員車両に飛び乗り、ドアの反対側まで行き、網棚のカバンを取り電車から脱出した。
ドアが開いて閉まるまでの時間は10秒ちょっとの僅かな時間だと思う。一気に安堵に変わったが、暫くすると再び体調不良の自分が戻ってきた。
これもまぎれもない真実だ。
この日から30数年、私は網棚にカバンを置くことは一度もなくなった。
カバンがない!その2
10年ちょっと前くらいかなあ。先輩が経営している世田谷で飲み会があった。金曜だったこともあり、しこたま酔っぱらった。22時時近くだったと思う。駅から自宅までは自転車だ。駅から静まりかえった自宅までを自転車で帰る。
カバンを前かごに乗せた。少し大きめのカバンだったため かごに入れると言うより、乗せた感じだ。しこたま飲んでいたが、しっかり自宅に帰ってこれた。
しかし、自宅前につくと、前かごのカバンが消えていた。「ええっ!カバンがないじゃん!」、酔いが一気に冷めた。勿論、引き返してカバンを探したが、路上にカバンが見つかるはずなんかない。自宅に戻りそのまま悶々と一夜を過ごした。
翌日、午前中だったと思う、警察署から電話がかかってきた。「こちら〇〇警察署です。落し物が届けられています」と、ひどく単調な内容だったが、それがカバンであることは直ぐに分かった。カバンの中には住所記載の手帳や財布の中に免許証が入っている。身元なんか容易に分かる。誰かがカバンを警察に届けてくれたのだ。
戻ってきた!2万円程クオカードは抜かれていたが、それ以外は財布を含めて全てそのままだ。日本最高だ!
この事件以来、しこたま酔って帰ることが全くなくなった。それほど衝撃事件だったのだ。
こんな失態を書くのはマイナスかもしれないけど、日本人のすばらしさを賞賛するため記事に起こした。
私も「困った人には善良な一市民になる!」と、強く心に思ったのだ。
日本って素晴らしい!日本人って最高だ!(その1に戻る)