現在のIT業界のビッグ企業と言えば、Google、Apple、Facebook(Meta)、Amazon、Microsoftだけど、私が新卒で当業界に入った頃の80年代は、IBM、富士通、日立製作所、ユニシス、日本電気らメインフレームの独壇場だったんだ。すぐ後ろに東芝や三菱電機らも上位に座っていたから如何に日本が元気だったか分かる。
ミッドレンジ、サーバーやPCメーカーのDECやHPなどが徐々に勢力を伸ばしてくるけど、IBMを中心とするメインフレーム企業が高くそびえていたんだ。

1975年、i8080搭載のアルテア8800登場
世界初のPC「アルテア」の登場からコンピュータ業界そのものが大きく変わっていく。マイクロプロセッサの急激な進歩を目の前にし、王者IBMはPC分野にも出来る限り早く進出する必要に迫られるんだ。
しかし、IBMが自社でPCを開発し、製品を投入すると数年を要してしまう。それではとても間に合わない。だからPCの基本仕様を公開し、それを基にして外部に依頼する方法しか手段はなかったんだ。結果だけ書けば、CPUはIntel、OSはMicrosoft、各周辺機器はどこそこの会社に依頼するって感じだね。

初代 IBM PC(IBM 5150)
IBM衰退の最大の原因は、MicrosoftのOSを買い取らなかったことに尽きる。否!買い取れなかった。これによりMicrosoftは、IBMにはPC DOSとして提供し続け、自らはMS-DOSとして販売した。中身はほぼ同じだ。
当然、IBMから買取りの要求はあったようだ。でも、若きビル・ゲイツはそれに屈せず、頑なにIBMからの買取り要求を拒否したんだ。IBMはソフトウェアはハードウェアのおまけ感覚だったけど、ゲイツはこれからはソフトウェアが中心になると予知したんだね。
IBMは世間知らずだったのかもしれない。この頃はまだ圧倒的にメインフレーム時代だったこともあり、PCの未来を軽視していたようだ。私もこの頃、メインフレームで仕事をしていたけど、PCなんか全然使えないおもちゃで、PCがビジネスに役に立つなんて微塵も思わなかった。
なんだかんだでIBM PCが市場に登場すると、すぐにPCメーカーはIBM PC互換機を発売した。そして、MS-DOSが互換機メーカーのOSとして提供された。IBMはPC DOS、IBM互換機メーカーはMicrosoftのMS-DOSが市場に溢れかえり、ビル・ゲイツ率いるMicrosoftがPC市場を支配することになるんだ。

その後、IBM OS/2とMS Windowsの興味深い戦いがあるけど、業界を振り返って考えると、これまでの最大のビジネス英断は、ビル・ゲイツが決してIBMにDOSのソースコードを渡さなかったことだと思う。 個人的にね。だってその後の業界の歴史が全く変わってしまうからね。
Googleでさえ 検索エンジンを開発した時、資金難に陥り 当時の雄であるYahooや他の企業に検索エンジンを販売しようとしている。検索エンジンにビジネスを感じられなかったYahooらは、購入を断っているけどね。

しかし、ゲイツはIBMにどんな条件を突きつけられても断った。もしIBMに権利を渡していたら、IBMがPC DOSをバージョンアップし、Microsoftとの契約はそこまでだ。条件によっては、互換機メーカーにMicrosoftがMS-DOSを提供できたかもしれないけど、IBMがDOSを支配し、今のMicrosoftはなかった気がする。
であれば、DOSの後続 Windowsそのものがどうなっていたのか分からない。OS/2が天下を取っていたかもしれないし、UNIXのX-Windowsも存在していたからUNIXが君臨したかもしれない。勿論、WindowsNTは登場しないから、現行のWindowsは決して存在しない・・・まあ全部もしも話だけどね。
だから、業界最大の英断はビル・ゲイツが自社のDOSのソースコードをIBMに決して譲渡しなかったことかなぁって訳。まあ、個人の見解だけどね。
【OM参考】
105 IBM と BIOS(バイオス)の関係
122 ライバルは空の上
123 ゲイツ、人生最大なる決断















































