自分とコンピュータ史

175 アメリカ・オンラインの迷走

1996年~2002年頃
世界最大のオンライン・サービス会社(#4/4)

私はパソコン通信の経験はあるものの 積極的に利用することはなかった。アナログ電話回線だった当時、パソコン通信に必要な電話回線での接続が性格に合わなかったんだ。

貧乏性の私には接続時間が刻々と加算されていくデジタル表示に非常に抵抗があった。さりとて、深夜時間を対象とする不健康なテレホーダイサービスは関心がなかった。

プロバイダーとの契約も歓迎できない内容だった。1996年のパソコン通信の日本代表格 NIFTY-Serveを例にすると、月3時間まで1,800円、それを超えると15円/分(28.8k)だ。今となれば嘘みたいな通信料金だよね。


America Online 3.0(1996年)

無数の草の根ネットも氾濫し、私も草の根ネットとNIFTY-Serveに加入した時期はある。NIFTY-Serveの資料をいま見ると目を疑ってしまう。月の使用時間が3時間なら1,800円と書かれてある・・・ええっ!接続時間がたったの3時間だって?1日分じゃないぞ、月間だぞ~。確かに当時はそうだったなぁと懐かしくもある。
【参考】インターネット白書

当時、アメリカなら月20時間までは19ドル98セントが標準価格だった。次第にユーザーは、時間いくらの固定料金に不満に持つ。


創業時のYahooトップ画面(1994年)(Web Design Museum)

時代の流れは、固定料金へ移行せざるを得なくなっていく。MSNが1996年10月10日に19ドル95セントの固定料金で使い放題とし、AOLも追従する選択に迫られる。苦渋の判断の末に接続時間無制限とする。しかし、もともとAOLは なかなか繋がらないことも少なくなかったため、一度接続出来ると繋ぎっぱなしのユーザーも少なくなかったんだ。踏んだり蹴ったりだ!


千里眼トップ画面(1994年)

そんな中でもインターネットは爆発的に広がっていった。あらゆるサイトが立ち上がり、あらゆるコンテンツが提供され始めると、閉じたオンライン・サービスに加入している必要性がなくなり、パソコン通信の会員数は徐々に減少していった。無数のURLさえ分かれば直接サイトに訪問可能な大海原が広がっているからね。


infoseekトップ画面(1997年)

私も検索エンジン経由で直接ウェブサイトの情報を取得するようになり、インターネットの大海原に出航し始めた。インターネット黎明期の検索エンジンには、Yahoo!(1994年~)、千里眼(1994年~)、Infoseek(1996年~)、Excite(1997年~)などが存在した。PC専門書が色々な検索エンジンを紹介し、興味本位で黎明期時代に存在していた検索エンジンを片っ端から試したもんだ。


exciteトップ画面(1997年)

今ではGoogleがあれば簡単に情報は得られるが、当時の検索エンジンの完成度はどれも低く、知りたいサイトに辿りつけないことが多かったんだよ。

ちなみにGoogleは1998年頃に登場し、その完成度の高さに2000年頃から人気を博す。2002年 AOLはGoogleと契約する。[Search Powered by Google]なる検索ボックスを表示させるにあたって、AOLは目が飛ぶような高額な金額をGoogleに提示している。この頃のAOLは強大で、Googleは会員数の多いAOLユーザに使って欲しかったんだね。


日本もNifty Serveが流行り沢山の解説本が出た

AOLの当時の巷の噂では、会員数は増えても 増えた分だけ脱会者も存在したなる笑い話があった。
そうであってもAOLは600万人を超える世界最大のオンラインサービス会社となっていく。ちなみにNIFTY-Serveの最盛期は200万人程度だったからやっぱり凄いよね。

1997年9月にCompuServeを、1998年にネットスケープコミュニケーションズをAOLは買収する。2000年にタイム・ワーナーを買収し、オンライン・サービスのトップに君臨するんだ。

しかし、インターネットなる大海原はさらに広がり、会員制の閉じたパソコン通信は限界を迎えつつあった。
AOLの会員数は徐々に下がり続けていく・・・最終的にどうなったかって? それは後日

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