1994年頃~98年
NECはさまざまな手段で、PC国民機の意地を守ろうとした。
尚、国民機と言うのはNECやマスコミ関係者が使った言葉で、実際は国民機と認められた訳ではないので、念のためにね。
98互換機を発売していたEPSONは、Windows95が登場する頃に98互換機路線に見切りをつけ、早々と市場撤退した。相次ぐ国内外のDOS/V機の進出と発売でNECは完全に孤児になってしまった。
日本をバージョンアップ 浅野温子TV-CM
「98で、Windows95。」、「日本をバージョンアップ。」浅野温子のテレビコマーシャルがテレビ・雑誌・巷のメディアに頻繁に流れた。Window95が発売される 1995年の秋頃から1996年にかけての頃だ。
力を入れた宣伝だったし、NECの意地を見せたことは素晴らしいが、業界の流れを知っている者にとってPC98シリーズの終焉を感じる寂しい演出にさえ感じとれた。
NECはPC98動作を保証するため、マイクロソフト社に技術者を送り込んでWindowsソフトを開発した。しかし、多くの技術者を送り込むには開発費用がかかりすぎる。NEC側もDOS/V仕様に合わせれば この開発費は要らなくなる。かなりの葛藤があったと思う。
1997年9月 PC98 NXシリーズ(PC98でありDOS/Vのような良く分からないシリーズ/あくまでも個人評価です!)を出したり、国外ではPC/AT互換機路線に進出したり、PC/AT互換機のパッカードベルを傘下に収めたり、国内のAT互換のサーバー(Expressシリーズ)を出したりなど既にAT互換機寄りに進んではいた。
この頃になると、「NECは98シリーズの撤退発表をいつ行うのか?」それが話題になっていた。
左:PC98NXシリーズ VALUE STAR NX 1999年6月
右:PC98NXシリーズ LaVie 2000年7月
当初NECは「PC98は決してなくなりません」なんて声明を出していたが、年々トーンダウンし、公約通りPC-9821のWindows98/SEとWindows2000まで頑張った。1998年にNEC-PC98シリーズの撤退を発表した。
遅すぎる撤退だが、遅すぎたのはNECにも意地があったからに違いない。
撤退後も機種サポートは生産終了後7年の期間がある。サポートが終了するのが2010年、完全に終焉するまで頑張り続けた。よくぞここまで頑張ったもんだと思う。間違いなくNEC PC98シリーズは、日本のパソコン業界を引っ張ってきたのだ。
お疲れさまでした!
さようなら PC98
関連情報:NECパソコンの歴史
NEC PC9821シリーズ発売年月別一覧表(クリックで拡大)
自分の理解のためPC-9821シリーズの一覧表を作成してみた。同じ機種でも内臓HD搭載やメモリ容量で大きく価格は変わるし、記載はディスクトップPCだけ、これ以外にノートPCもある。あくまでも全体を俯瞰する意味で眺めて下さい。