1980年~1995年頃まで
ラリー・エリソン by オラクル(#2/5)
オラクル創業
1977年、エリソンは33歳で会社を興す。ラリー・エリソンとボブ・マイナーそしてエド・オーツがオリジナルメンバー。
主にエリソンが製品を売り、マイナーが製品をつくり、オラクルの前身なるSDLを大きくする。
エリソンらしくないSDL(Software Development Laboratories)なる平凡な社名で、依頼されたソフトをプログラミングする会社としてスタートする。
VAX-11/780 (出典:VAX images gallery)
ちなみにこの年にDECの伝説の名機VAXが発売され、DECのPDP-11やVAXなどにオラクルDBを稼働させることになる。このDEC社のVAXを開発したのが、のちのWindowsNTの生みの親となるデビット・カトラーなんだ。
SDL社は、IBMが提唱したRDB(リレーショナルデータベース)モデルをもとにデータベースソフトを作る。バージョン1は使いものにならなかったため販売はしていない。
IBMは当たり前として、この頃のDEC(Digital Equipment Corporation)は一世を風靡した超名門企業だった。80年代後半~90年代前半は、日立・富士通・NECなど日本企業もアメリカの強力なライバル企業として登場していた。
右側が Sun 3/60 / 画像 Wikipediaより
1986~1988年頃のサン・マイクロは超絶好調、ワークステーション Sun3 は飛ぶように売れた。その後、2009年にオラクルにサンが買収されるなんて考えられなかった。「嘘だろう!サンが買収されるなんて」ってね。
本「カリスマ」148頁にこんな面白い表現がある。
DECのPDP-11を使って書かれたバージョン1は「データベースのごきぶりホイホイ」だった。
「データは入力できるが、出てこないんだ」😅 自虐的表現だけど、オラクル初期バージョンを面白く表現している。
オラクルごきぶりホイホイ(画像:アース製薬より)
1979年 社名をRSI(Relational Software Inc.)とし、データベースらしい会社名に改めた。バージョン2でDECのPDP-11向けDBを販売するが、なんともお粗末な製品だったと本には書いてある。バージョン4までさまざまな問題を抱えたデータベースソフトだったようだ。
初めの顧客はCIA(中央情報局)なんだけど、まともに動作しなかった。
頻繁に顧客からクレームがあり、そのたびに現地に向かいバグを潰しながら保守を行ったらしい。お客がバグ潰しに多大な協力をしてくれたって訳だ😅
エリソンの巧みなセールストークで製品は売れたが、製品はまともに動かなかった記載があちこちで見かける。
素直に受け止める人も多いかもしれないが、私の感想はちょっと違った。
一例をあげれば、CIA(中央情報局)はRSIにIBM汎用機とミッドレンジVAXで動くように要求、サンディエゴの海軍はUNIXでも動くように要求する。異なるOSであれば、そもそもまともに動くはずがない。バグだらけで使い物にならない製品だったと複数の箇所に書かれてあるが、これじゃあ動かなくても当たり前だ。
要はこうした説明を一切しないで、駄目ソフトだったとか、バグだらけの製品だったと書いているだけだ。そうでなければ、オラクルがここまで成長するはずなんかない。
そうであれ、こうした無理と分かってもやり抜くことが成功に繋がるんだろうね。