1995年~
1995年 Netscape Navigator 2.0 にJavaScriptを搭載し、ネットスケープ社はJavaとJavaScriptのサポートを発表した。【参照:113 サンマイクロシステムズ、Java登場】
その年の1995年、ビル・ゲイツは IE を JavaとJavaScriptのサポートを早急に対応すると明言している。1995年~96年、マイクロソフトはWindowsの圧倒的な市場支配力を使って、Netscape Navigator を潰そうと動き出した。

ネットスケープ社と仲の良かったサン・マイクロシステムズが開発した人気言語Java、その売り文句は、どんなマシンでも動作すること。
この意味を簡単に記せば、
1) あらかじめOS環境に影響しない段階までのマシン語である中間言語にコンパイルする
2)あらかじめ各OSにJAVAの中間言語が動作するJVM(Java Virtual Machine)なる環境を設定する
3) そこに中間言語を置けば、そのマシン上で動作する
要はJVMの環境を色々なOSに準備さえ出来れば、どんなマシンであっても動作するってことだ。MacでもUNIXでもAndroid系マシンでも関係ない。確かにこの考え方は素晴らしいと思う。

破竹の勢いで進んだサンマイクロにマイクロソフトは黙っていなかった。
マイクロソフトは、Windowsで正しくJavaが動作しないように意図的に手を加えた。サン側はマイクロソフトが自社の利益のために市場操作していると非難し、何度も両社はJavaに関する交渉の席に座っている。
1997年10月7日、 サン・マイクロシステムズはマイクロソフトを提訴する。
マイクロソフトがWindows向けのJava仕様を改変したと言うのだ。こともあろうにWindowsプラットフォームでのみ動作するようにしていると。ゲイツのしたたかさを知らなかった私は「嘘だろう? そこまでやるもんなの?」と、当時は半信半疑だった。

サン側は、ライセンス違反、Javaロゴの使用停止を求め、マイクロソフトJavaを偽物とした。
[100% Pure Java] と マイクロソフトの[偽物 Java] が話題となってかえって市場が混乱した。
当時 サンのマクニーリ会長は、「JavaでないものをJavaと呼ぶわけにはいかない。現在Javaは117社に対してライセンスされているが、マイクロソフトを除く116社とは何ら問題はない」と語っている。
これに対しマイクロソフトは、その先を見据えていた。
2000年6月 .NET(ドットネット)フレームワークを市場に公開し、Java の考えをベースにした C# を提供するのだ。Java同様に Mac、Linux、Androide系でも動作する。凄いよね~。

サンの訴訟は最終的にマイクロソフト側が和解金を支払うことで決着する。
しかし、サンは過去の特許権問題については一切提訴しなくなる。これはサンの経営不振が影響している。
経営不振の理由は、Javaが直接の問題ではない。PCの圧倒的性能向上が理由だ。もともと上位機種であるサン製品であるUNIXワークステーションやUNIXサーバーが売れなくなったのだ。033 憧れのサンマイクロ社のUNIXは、いつのまにか憧れのマシンじゃ無くなっていたのだ。
あれこれ紆余曲折の末、最終的にオラクルに買収される。035 私よりソフトが魅力なの? #2
コンピュータ業界を語るとIBMとマイクロソフトが必ず登場してくる。個人的にIBMよりマイクロソフトのほうが怖い。IBMは官僚的で上から目線ではあるが、マイクロソフトはライバル会社は徹底的に自社製品で囲い込み、市場から抹殺しようとするのだ。