1980年代前半~1990年代前半
世界最大のオンライン・サービス会社(#1/4)
1997年初頭、世界最大のオンラインサービス AOL(America Online)が日本に進出した。当時、PC雑誌や家電量販店にCD-ROMを無料配布した。CD-ROMは簡単に手に入ったため、一度はインストールした人は少なくなかったはずだ。
1983年、コントロール・ビデオ社(Control Video Corporation)、その後のクァンタム社(Quantum Computer Service)とし、オンラインサービスを始める。紆余曲折を経て1991年にAOL(America Online)と名乗り、1992年3月19日ナスダックに上場する。AOLの主人公は、1958年8月生まれのスティーブ・ケースだ。
社名がクァンタム社だった頃、アップル社のオンラインサービスを開発&運営もしている。但し、スティーブ・ジョブズとスティーブ・ケースは運営において意見が衝突し、クァンタムはアップルから撤退している。2人の性格から何となく理解できる。
【 画像 】CompuServe ver3.0の画面。Windows 3.1で動作するため、1992年頃の製品だと思う。女性の声で「Welcome to CompuServe」と起動する。
クァンタム社時代は未知の会社だったが、既にコンピュサーブ(CompuServe)とプロディジー(Prodigy)は市場に登場し、多くの会員を抱えていた。AOLがライバルと呼ぶにはおこがましいが、まず目標とすべきライバル企業だった。
IBMの資本が入ったProdigyは米国内では名を知られていたが、日本では殆ど馴染みがなかった。私も存在を知らなかった。
先の話になるけど、1986年2月に日商岩井と富士通がCompuServeのライセンスを受け、ニフティサーブを設立している。私もニフティサーブに短期間だけ加入している。インターネット黎明期でもあり、モデムにより電話回線で接続する 俗に言う「パソコン通信」と呼ばれた時代だ。
しかし、どうも自分にはパソコン通信が性格に向かなかった。貧乏性の私にとって、カチカチ時を刻む課金の世界にたまらなく抵抗があったんだ。
ちなみに1996年に三井物産・日本経済新聞社・AOLの3社によるAOL日本法人が設立されている。スティーブ・ケースも来日し、和服姿で設立を祝うパーティで美酒を楽しんでいる。日本では1997年にサービス開始だ。
【 画像 】Prodigyの1991年のMS-DOS版、Prodigyは1980年代後半に誕生。IBM と Sears によって設立されたオンライン サービス企業
急成長するAOLは、1995年にCompuServeとProdigyを会員数で追い抜く。マイクロソフトはこのサービスは儲かると嗅ぎ付けて、この分野に進出してくる。
ビル・ゲイツは企業買収を検討するが、OS/2開発で喧嘩したIBMの資本が入ったProdigyは当然対象外だ。
CompuServeはマイクロソフトの提案に興味を示さなかったので、手ごろなAOLに話を持ち掛けるが、スティーブ・ケースは買収の話に乗らなかった。
1993年5月11日の会談で、ケースにゲイツは「君たちの会社をまるごと買収も出来るんだよ」と、脅迫じみた言葉を発している。
MSN 初期バージョン
1995年のWindows95の発売に合わせて、マイクロソフトはMSN(Microsoft Network)なるサービスを始めるが、予想会員数を大きく下回る結果となる。コンテンツが未成熟だったため、サービスに魅力が少なかったんだ。私も加入することはなかった。