自分とコンピュータ史

185 ヤフー、急成長

2000年~2007年
ヤフー!(#2/5)

トップのアイキャッチ画像は混沌(こんとん)なる中国神話に登場する神だ。尻尾があるが、頭がなく、足が6本、4つの羽を持つ得体の知れない生き物だ。まさにカオスだ。Yahooはこの混沌の時代に突入する。

テリー・セメル 登場


Yahoo!CEO時代のテリー・セメル PC Watch

ティム・クーグル(Koogle)とジェフ・マレットが経営陣に加わり活躍するが、創業者のデビッド・ファイロとジェリー・ヤンは大企業での経験豊富な経営者の舵取りを期待し、2001年4月 Yahooに新しいCEO テリー・セメル(ワーナー・ブラザーズの元会長)が就任した。

Googleの2人の創業者 ラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンがエリック・シュミットを加えたのも、同じ理由だ。それも同じ2001年だ。Googleの創業者2人は「大人の経営者なんか要らない」と渋ってはいたが、シュミットを経営陣に加えたことは大正解だった。

Googleに就任したシュミットは46歳、Yahooに就任したセメルは58歳だった。セメルもエリック・シュミットみたいになれば良かったんだけど、そうはいかなかった。

セメルは映画業界では華々しい実績を持つ人物だったが、1998年~1999年に会社に多大な損害をもたらし、1999年にワーナー・ブラザーズを退職している。


ワーナー・ブラザーズの映画作品

ヤンは過去の輝かしい実績からセメルにCEO打診をしたが、セメルはIT音痴だったんだ。映画業界は熟知していてもコンピュータ業界を知らなすぎた。インターネット文化が理解出来なかったし、真偽は不明だがメールもろくに打てなかった。サン・マイクロ、ノベルの名門企業を経験してきたシュミットとの大きな差はここだと思う。

Yahoo、Googleとfacebookの買収話

Google創業時にペイジとブリンは、Yahooに Google検索エンジンの買取を打診している。その頃のYahooは、圧倒的首位に立っていたからだ。しかし、この頃のYahooはまだGoogle検索エンジンの価値を見極められず、断っている。

今度はYahooのセメルがグーグルを訪れて、ペイジとブリンに買収の打診をする。
「まともな収入がないのにどうやって食っているんだ、よかったら君たちの会社を買おうか?」
「いや結構、会社を売る気はない」

グーグルの社員食堂での会話だ。

交渉額は10億ドルから30億・・・50臆、どんどん吊り上がって100億ドル・・・セメルは「いいかげんにしろ!」と怒る。つまり、もはやペイジもブリンもGoogleを売る気なんか全然なかったってことだ。
そして、まもなくドル箱となるGoogleアドワーズとアドセンスが登場することになる。


当時の検索エンジンと検索連動広告overture、msn

2002年2月 Yahooは検索エンジンのインクトミを買収、2003年2月オーバーチュアが検索エンジンのアルタビスタを買収し、そのオーバーチュアを7月にYahooが買収する。この あからさまな買収行動にペイジとブリンは話し合いの場を持とうとするが、セメルのそっけない対応に2人は怒ってしまう。

更に2004年 セメルはfacebookのマーク・ザッカバーグとも何度か交渉する。とくに2006年6月は10億ドルを提示されたザッカバーグは、さすがに買収話に戸惑うが買収話に乗らなかった。ザッカバーグ22歳、セメルと親子ほどの年齢差だ。facebookの幹部連中は「何故こんな良い話を断るんだ!」と憤慨し、多くのメンバーは会社を去っていったようだ。


flickr 2005年(Web Design Museum)

繰り返すが、セメルは映画業界に精通していてもウェブ業界は素人だった。映像に関係深いYouTubeの買収さえもGoogleに話を持っていかれている。

Flickrは当時としては先駆的でクラウドで写真を共有できた。今でいうfacebookやInstagramのようなもんだ。市場を先行していたFlickrを2005年にヤフーが買収したまでは良かったが、これを生かすことが出来なかった。

Googleのエリック・シュミットは、とてつもなく面倒な著作権問題等を一つ一つ交渉し、ペイジとブリンに厚い信頼を得ることが出来た。セメルの場合、社内のメンバー達は「セメルで大丈夫なのか?」と感じるようになる。


左からセメル、ヤン、デッカー IT media NEWS

Yahooの最大の失策は、Googleの急成長を抑え込むべき重要な時期に、ネット業界を知らないセメルをCEOにしたことだった気がする。まあ最終的に2007年にセメルは辞任するんだけどね。

【関連】180 ユーチューブ発進

映画業界で高い名声を得ても、いきなりネット業界に飛び込んで手腕を振るうことは無謀だったって訳だ。むしろ私的には同情さえしてしまう。ひとまずヤンが一時的にCEOとなる。



Yahoo!とGoogleと業界周辺の関係/クリックで拡大

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